株の売買をしてみると、自分の株の値段が下がり始めて損失が出ていることに気付く場合がある。
保有株の損失は自分の思惑とは裏腹にどんどん膨らみ、気づけば資産が半分なってしまったという話もよく聞く。特に個人投資家のなかには保有する株に愛着を持ってしまい、何があっても株を手放したくという人もいるくらいだ。
しかし、投資の世界では損失がおおきく膨らむ前に損を早々に確定して、いったんその株式を見切った方がよい場合も多々ある。そしてその損を確定する技術を損切り(そんぎり)という。
損切りを覚えることで様々なメリットがあるため、投資を行うならぜひとも覚えておきたい。そこでは、損切りのメリット、投資スタンスごとの損切りに対する考え方や、やり方を解説していこう。なお、本記事では確定していない損失は含み損、確定した損は実現損という表現を使う。
損切り2つのメリット
損切りのメリットには以下の2つがある(損失が膨らまないメリットは当たり前すぎるので省く)。
一つ目は、損失を確定することでゼロの立ち位置に自分をもどすということ。精神的に軽くなり、新たな投資に積極的に踏み出すことができることだ。こちらはどちらかといえば短期投資における損切りのメリットだ。
投資をしてみるとわかるが含み損を抱えた状態だとこれ以上損したくないという気持ちが働いてしまい、次の投資をためらってしまうことがある。一度、実現損にすることで投資家としてのメンタルをリセットできるというメリットがある。
二つ目は、資金を効率的にまわせるというメリットがある。こちらは長期投資におけるメリットだ。
含み損のままだとどうしても「いずれ株価が買値に戻ったら売ろう」というあてのない願望がでてしまい、いつまでも資金が拘束されてしまう。そうなると資金が拘束されている間にどんどん上がる株が生まれてしまい、それを指をくわえてみているだけという状態になってしまう。早いうちにダメな株は見切って、これから上がる株へと移った方が資金効率も高まるのだ。
短期投資における損切りとは
損切りは本来であれば短期投資における投資技術である。デイトレードやスイングトレードなどの短期投資では、「トータルの利益がプラスかいなか」という基準で成功したかどうかが判断される。確定利益に比べて常に実現損の幅を小さくしておくことで利益は残ることになる。
たとえば、10回当たりのトレードで5万円の利益を残すことを目標にした場合、もし勝率が半々であるのなら、いやでも1回あたりの利益よりも1回あたりの損失を小さくする必要がある。1回あたりのトレードにおいて2万円の利益、1万円の損で確定させることができれば、この事例の場合には5万円が手元に残ることになる。
損失が1万円に到達したら、有無を言わさずに損切りする。これが短期投資における損切りの法則だ。もしそれでも利益が残らない場合には勝率が悪いか、売買タイミングを測る技術が足りないということになる。短期投資においては、損失をずるずると引き延ばすこと自体あってはならないことなのだ。
長期投資における損切りとは?
長期投資においては損切りは短期投資ほどには頻繁に行わない。また損切りの基準も、いくら損したから切る、というものではない。長期投資における損切りはその銘柄を選定した基準が悪い方へと変化するから起きるものだ。
たとえば、業績が黒字化した企業があったとする。売上高に対する営業利益の比率も上向きようやく株価も上昇の流れにはいったなら、その後短期的にどんなに株価がぶれても株を持ち続けようとするのが長期投資だ。
ただし、その企業に再びなんらかの悪材料(企業業績に影響を与えそうな事象など)が発生した場合には、長期で持つ意味が失われるため、損失を確定させて別の株式へと資金を移動させる。
長期投資における損切りのポイントは、あくまで損失ではなく、企業の動向に注目して損切りするという点だ。つまり、企業動向の変化を見極めて株を手放した結果、損切りになるということだ。ここでいう損とは損の金額ではなく悪い方へと転換した企業自体を指すのだ。
損切りは仕切り直しのための一技術としてとらえよう
投資において損切りは一つの技術である。そのため、損切りが下手でつねに実現損を出していて、その後株価が上がってしまうという人もいる。
とにかく損切りを覚えるには、実戦を積むしかない。机上の理論通りにはいかないのが投資の世界だからだ。そうはいっても、短期投資と長期投資における損切りの考え方の違いなどは、最初の段階でおさえておくべきだ。
文・谷山歩/ZUU online
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