一点モノのヴィンテージギアは過去の持ち主や経年によって独自の趣が生み出される。ここでは欧米の古き良きギアを紹介する。
■遊び心あふれるヨーロッパヴィンテージの妙味
ヴィンテージ──ときを紡ぐことで味わいや重厚感を増した、趣味人の心をくすぐる逸品。
元々はワインの製造年を表す言葉であったが、古着や雑貨類、アウトドアギアにも使われる。なかでもアメリカの老舗ブランド「コールマン」やイギリスの「ティリー」のギアは人気が高いようだ。
ティリーは元々、鉄道車両の乗客たちが食事をする際のテーブルランプなどを作っていたが、洗練されたデザインが注目され、次第にキャンプでも用いられるようになった。
「ランタンやテント、椅子、テーブルなどひと通りはヴィンテージで揃えることができますよ」
そう話すのは、東京都立川市にあるヴィンテージショップ「ガジェットモード」の店主・波多野保さんだ。
波多野さんは平成21年(2009)に同店をオープン。当初は一般的な雑貨を取り扱っていたが、開店から1年ほど経った頃から、ヨーロッパのヴィンテージギアを置くようになった。
配色が特徴的なプリムスの2バーナーコンロをキャンパーには見えない20代くらいの女性が買っていったので、これは売れるかもしれないと考えたことがきっかけ。
店内にはイギリスから直輸入したさまざまなヴィンテージ雑貨や、前述のコンロのようにカラフルな配色のアウトドアギアがところ狭しと並ぶ。
「アメリカはミリタリーなど武骨なモノが多い印象ですが、ヨーロッパは配色が鮮やかなモノが多いです」と波多野さんは話す。
しかし難点もある。ブルーとイエローの絶妙な配色のラックは、三角形の頂点に向かって2つのチャックで閉める仕様となっており、正直開けづらい。
だが波多野さんは「これはデザイナーのこだわりですね。実用性よりも遊び心を重視しているところがヨーロッパヴィンテージの面白さなんです」と話す。
効率ばかりが追求されがちな昨今、心に余裕を持ちながらギアを愛でることがヴィンテージギアの魅力なのであろう。
波多野 保さん
キャンプ歴は20年ほど。元々は車のカスタムが本業だったが、ヴィンテージ好きが高じて店を構えた。探しているギアや、わからないことは質問すれば気さくに教えてくれる。
■European Vintage
歴史と伝統を積み重ねてきたヨーロッパならではの気品を感じさせるギアをピックアップ。
●現代にも自然と馴染むデザイン
スープや温かい食材を持ち運ぶためのフード用の魔法瓶。内部はガラスで作られている。
●革で覆ったガラス製の水筒
ウイスキーなどの蒸留酒を入れる携帯用水筒。中はガラス製で清潔感があり、革製のカバーで覆われている。
●英ティリー社製の名ランタン
フードとグローブの形状が特徴の人気の品。明かりを灯すと燃料の灯油の香りがふわりと漂う。
●スタイリッシュに畳めるスツール
折り畳めて持ち運びに便利なステッキスツール。座面には合皮製のクッションカバーが付いている。
●鮮やかなグリーン色のクッカー
高さ30cmほどのコンパクトなクッキング用ストーブ。鮮やかな緑が印象的。燃料には灯油を使う。
●フランス製の通称“鉄骨テント”
フルコットン製で窓にレトロなフラワー柄カーテンが。フレームはアルミ製で大きさの割に軽量。
■大小さまざまな品が所狭しと並ぶ
ガジェットモード
キャンプに必要なヴィンテージギアがひと通り揃う。なかでも1960~80年代のフランスのテントが充実している。
東京都立川市富士見町5-6-15 YAMASアパートメント1F
TEL:042-519-8074
営業時間:12:00~20:00
定休日:月曜
アクセス:JR「立川駅」より徒歩約10分