最先端のシャシーSDVはOTAにも対応


ZFはシャシー性能にこれらのポートフォリオを組み込むことでSDVとして制御することが可能であり、統合制御するのがcubiXというわけだ。これらを装着したテストカーがLotus EletreでcubiX performance drivingとなづけられたテストカーで、Integrated Brake ControlのIBC、Belt driveのElectrically Powered Steering、そしてCDCを搭載し、駆動モーターは200kW 800Vのモーターで走行した。

狙いはスーパーカーのようなスポーツドライブではなく、安全性を高める方向のテストドライブだった。そのため低ミュー路でのブレーキングでも姿勢を乱さないことや、急激なステアリング操作にも安定した車両姿勢を維持することなどが体験できた。


もう一台試乗できたのはEVbeatというコンセプトカーだ。これはポルシェ・タイカンにZFの最新電動モータで、12SMのマグネットフリー同期型電動モータを搭載したモデルだ。超小型のE-Drive system EVsys 800を搭載し、サーマルマネージメントも革新的に進化したものと組み合わせることで航続距離を1/3多く伸延することができるという。
こちらはハイパフォーマンスEVで、ノーマルのタイカンでも、とてつもない加速をするが、さらに力強く、圧倒的な未知の加速をするタイカンになっていた。


展示物では商用車向けに車載高性能コンピュータProAIや画像処理モジュール、パーキングコントローラー、そして最新カメラ「S-Cam6」と呼ばれるフロントカメラがあった。これは画像処理モジュールEyeQ6を搭載した一体型でより広い水平視野と高い垂直視野を持ったカメラという説明だった。
E/Eアーキテクチャーの進化で車両も進化できる
次世代の車両がSDVとなっていくことで、OTAでのアップデートが可能となり、ユーザビリティは飛躍的に向上する。それはパソコンやスマホと同じようにハードを交換することなく、さまざまな機能をプラスしていくことが可能になり、E/Eアーキテクチャーの進化と並行して車両も進化していくことができるのだ。
ZFは従来、部品だけの販売やシステムの販売という2パターンができるというのが強みであったが、このようにSDVになるとOEMはアプリケーション、ポートフォリオの購入という付き合い方ではなく、ソフトウェアも含めどう使っていくか。どうOEMらしさを出していくかという領域に入りそうだ。
日本のOEMはブラックボックスを極端に嫌う。そのため、次世代モビリティでは大きく遅れをとっているが、言い換えれば責任の負えない製品をつくることはできないという企業姿勢があることも理解できる。これまでは全てを手の内化しないと製品作りをしない姿勢でもあったからだ。しかし、この先はソリューションを使いこなすという領域も必要になり、責任の所在を明確にすることで遅れを取り戻すことができるのではないだろうか。
提供・AUTO PROVE
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