BIGトルクのディーゼルターボが世界を変えた

 CX-5は話題の多い最新SUVだ。中でも注目モデルが420Nmという最大トルクを発生するクリーンディーゼル車、スカイアクティブDである。
 CX-5が積む2リッターガソリンエンジンの最大トルクは195Nm。一方、ターボで過給した2.2リッタースカイアクティブDは420Nm。メーカーは、「4リッター車並みのトルク「というが、これは控えめな表現といってもいい。

 最大トルク発生回転数は2000rpm。これだけトルクに余裕があれば、低いギアに落としてトルクを増幅する必要はない。巡航状態からアクセルを踏み込むと瞬時に太いトルクが湧き上がり、力強い加速が始まる。まるで大きな手で腰のあたりを押されたような迫力たっぷりの加速フィールである。

【ボクらの時代録】2012年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。マツダCX-5( KEE/KE2型)の魂を揺さぶったスカイアクティブ技術
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【ボクらの時代録】2012年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。マツダCX-5( KEE/KE2型)の魂を揺さぶったスカイアクティブ技術
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 しかもエンジン回転数はつねに低く、静粛性、優れた燃費、そして上質なドライブフィールをもたらす。ガソリンモデルと比べ、1〜2クラス上のモデルに乗っているような、上質で余裕のある心地よさは大いに魅力的である。
 経済性もハイレベル。燃費そのものがガソリン車より優れているうえ、燃料は価格が割安な軽油。経済性とドライブフィールの特徴に着目すると、スカイアクティブDの優位性は明らかだ。

 圧縮比14というディーゼルとしては画期的に低い圧縮比は、DPF以外の排出ガス後処理装置を不要とし、価格面でメリットを生んだ。と同時に、エンジン内部のパーツが軽量化され、ディーゼルとは思えないスポーツ性を実現している。
 レッドゾーンの5000rpmまで鋭く回りきる点は驚きだ。経済性に加えてドライブフィール重視で選ぶ新世代ディーゼル、それがスカイアクティブDである。
(岡崎五朗/2012年7月号)

【ボクらの時代録】2012年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。マツダCX-5( KEE/KE2型)の魂を揺さぶったスカイアクティブ技術
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【ボクらの時代録】2012年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。マツダCX-5( KEE/KE2型)の魂を揺さぶったスカイアクティブ技術
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

初代マツダCX-5のプロフィール

 CX-5はマツダの新世代スカイアクティブ技術をフルに投入した第1弾。2012年2月に発表され、折からのSUVブームとも相まってスマッシュヒット。瞬く間にマツダの主力モデルに成長した。カタログでは「違いは、走り出した瞬間にわかる。凄さは、走り込むほどに際立つ。それがスカイアクティブ・テクノロジー」と表現。エンジン/トランスミッション/ボディ/シャシーのすべてにわたる全面革新をアピールした。

【ボクらの時代録】2012年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。マツダCX-5( KEE/KE2型)の魂を揺さぶったスカイアクティブ技術
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 数々の特徴の中でもCX-5の個性となったのは「スカイアクティブD 2.2」と命名されたクリーンディーゼルユニット。従来の常識を破る14.0の低圧縮比と先進技術の積極投入で、175ps/420Nmの豊かなパワーと後処理装置なしでの清浄な排気ガスを実現。俊敏で快適、そして経済性に優れたハイグレードな走りでドライバーを魅了する。スタイリングのデザインテーマは「魂動=SOUL of MOTION」と名付けられたダイナミックでスポーティなもので、新しいマツダ像を印象づけた。CX-5の魅力は走りとデザインのよさとともに、取り回し性と室内空間のバランスに優れたサイズ設定。マツダはCX-5以降、従来以上にクルマ好きのブランドとして認知されるようになる。

【ボクらの時代録】2012年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。マツダCX-5( KEE/KE2型)の魂を揺さぶったスカイアクティブ技術
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)