3200年前の呪物なのか――。世界最古の“神”の文字が刻まれた“呪いのタブレット”に議論が紛糾している。
■ヨルダン川西岸地区で発見された“呪いのタブレット”
人類がいつから文字を使っていたのかについては諸説あるが、たとえばエジプトのヒエログリフや、メソポタミアの楔形文字、中国の甲骨文字などは5000年前から3000年前には存在したといわれている。
単なる記号以上の意味を持つ文字についてもさまざまな説があるが、今回、人類が初めて“神”をあらわす文字を記した痕跡が発見されたかもしれない。
国際的な考古学チームは、パレスチナ自治区のヨルダン川西岸地区から少なくとも3200年前に作られた小さな鉛のタブレットを発見した。

2センチ四方ほどに折り畳まれた鉛の板には、ヘブライ語で“神(ヤハウェ)”を表す最古の記述が刻まれていた可能性があり、約束を破る者を呪うよう神に頼む文言が記されているという。
この小さな遺物はエバル山の発掘中に発見され、古代イスラエルの既知のヘブライ語碑文よりも古い文字が書かれている可能性をはらんでいる。鉛の同位体の分析などから、タブレットは少なくとも紀元前1200年頃に作られたものであるとされ、そうだとすれば前回発見された紀元前840年に遡る「メシャ碑文」よりも2000年近く古いことになる。

タブレットに刻まれた古代ヘブライ語碑文は48文字で構成されており、チェコ科学アカデミーやマインツ・ヨハネス・グーテンベルク大学、ハイファ大学などからなる合同研究チームが解読に取り組んだ。いったい何が記されていたのか。解読の結果は次の通りだ。
あなたは神に呪われています、呪われています。
あなたは死ぬでしょう、呪われています―呪われています、あなたは必ず死ぬでしょう。
あなたはヤハウェ(yhw)によって呪われています―呪われています。
3200年前の小さな鉛の板はなんとも不吉な“呪いのタブレット”であったのだ。
