水没した車はどうなる?
洪水や豪雨などによって水没してしまった車は、大きなダメージを負ってしまいます。
ほぼ確実に何らかの修理をしなくてはなりませんし、場合によっては廃車も検討しなくてはなりません。
水没してしまった車にはどの様なダメージが入ってしまうのか、詳しくご紹介していきます。
室内へのダメージ
まず車内に水が浸水してしまった場合、シートやフロアマットが水浸しになり、浸水した水位によってはエアコンダクトにまで水が入り込んでしまい、車内にはカビが発生したり、嫌な臭いが残ったりします。
最悪の場合、湿気によって発生したサビが原因で、フロアに穴が開く可能性もあるでしょう。
完璧に元通りにするには、シートを始めとした布製品はすべて取り外してクリーニングするか、新品に交換するしかありません。
また、エアコン内部に入り込んでしまった水を除去するには、配管のクリーニングやフィルターの交換が必須です。
車内への浸水は車に大きなダメージを与えてしまう重大なトラブルになってしまいます。
エンジンへのダメージ
車が完全に水没してしまい、エンジン内部に水が入ってしまうと、それだけでエンジンが破損してしまいます。この場合の対処は基本的にエンジン交換です。
なぜエンジンが水没すると故障してしまうのか。それはエンジンの仕組みが関わっています。
まず基本原理として、エンジンはエアクリーナーと呼ばれるフィルターから空気を吸い込んで、吸い込んだ空気とガソリンを混ぜた“混合気”に火をつけて動かしています。
このとき、エアクリーナーに水がつくと、そこからエンジンに水が侵入し、エンジン内部の“シリンダー”と呼ばれる空気を圧縮する部屋に到達。
水は空気と違い、圧縮することはできないので、そのままピストンが稼働し、水分を圧縮すると、圧力に負けたエンジンが破損してしまいます。
この現象を“ウォーターハンマー”と呼び、エンジン水没による故障の大半はこれが原因です。
もし仮にウォーターハンマーが起こらなかったとしても、エンジン内部を循環しているオイルに水分が混入すると、サビの発生やエンジンの異常摩耗を誘発し、廃車を検討するレベルのダメージになります。
電気系統へのダメージ
車が水没した場合、コンピューターやセンサーなどの電子部品や、電気配線に水分が付着し、ショートやエラーなどの故障が発生します。
車の電気的なトラブルは非常に厄介で、原因の追求にたくさんの時間を要します。
特にコンピューター周りの配線をつかさどる“メインハーネス”は各種センサーの信号を拾っている重要な部分です。
ここが故障するとメインハーネスだけではなく、付随するセンサー類もすべての交換が必要になります。
現代の電子制御が進んだ車は、1台あたり50〜60個のセンサーが使われており、これらをすべて交換する費用を考えると、修理費が車体価値を超えてしまうかもしれません。
水没による電気系統のダメージは非常に深刻で、修理の見通しがたたなくなるほどの被害となるケースがよくあります。
車が水没・冠水したときにやること
車が水没・冠水した場合は、即座にエンジンをストップして窓を全開にします。
こうすることでエンジン内部に侵入する水分を最小限に食い止め、修理できる可能性を少しでも向上させることができるのです。
また、窓を全開にするのは自信の安全確保です。万が一車が水没した場合、外開きの車のドアは水の抵抗によって開けることが困難になります。
もし車内から脱出できないまま水が侵入してきた場合、最悪の事態が起きる事は想像に難くないでしょう。
車が水没してしまった場合は、とにかく車から脱出できるように心がけるのが最優先です。間違っても車に乗ったまま対処しようとしてはいけません。