中古マンション購入の際、「築年数」を気にしない方はいないと思いますが、例えば築20年のマンションを購入するとして、築40年までしか住めないのと築60年まで住めるのでは、前提が大きく変わってきます。最終的なマンションの寿命を把握することで、適切なローン返済計画、人生設計を立てることが可能になります。
CONTENTS 目次
マンションの寿命はどれくらい?
法定耐用年数は47年
マンションの寿命はコンクリートと管理が鍵を握る
新耐震基準を満たしているかどうかも重要
マンションの寿命はどれくらい?
一般的にマンションの建物としてのターニングポイントは、築30~40年あたりだといわれています。その後は、管理の質や大規模修繕工事の有無によって、寿命は大きく左右されます。管理が行き届いていれば美観や快適性が長期間にわたって保たれますし、対極的に必要な修繕を怠れば早い段階で建物の価値は失われます。
法定耐用年数は47年
ちなみに税務上の減価償却では、木造22年、鉄骨鉄筋コンクリート造と鉄筋コンクリート造47年、軽量鉄骨19年または27年、重量鉄骨34年となっています。
帳簿上だけで見ると、47年を過ぎると建物の資産価値はゼロという扱いになるのです。そのため、金融機関が減価償却をローン返済期間の目安にすることもあります。だからといって、47年経ったら現実的なマンションの資産価値がゼロになるわけではありません。売却すれば値段がつきますし、ずっと住み続けることもできます。
マンションの寿命はコンクリートと管理が鍵を握る
冒頭で「マンションのターニングポイントは築30~40年あたり」と解説しました。しかし、最終的な寿命はどれくらいなのでしょうか?マンションの寿命は、構造体が劣化しているかどうかに大きく左右されます。構造体に使用されている鉄筋は、酸による腐食に弱いため、鉄筋周辺が酸性化しないようにすることが重要です。
一般的に、鉄筋周辺をアルカリ性のコンクリートで覆うことで酸性化を防ぎますが、このアルカリ性をいつまで維持できるかによってマンションの寿命が変化します。2013年に国土交通省が発表した国土交通省「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」内に参考資料として挙げられている早稲田大学・小松幸夫氏の「建物の平均寿命 実態調査」(2013)では、作られた建物が実際に壊されるまでの滅失データからマンション(RC住宅)の「平均寿命を68年」としています。
また、同じ資料内・飯塚裕氏による「建築の維持管理」(1979)では、物理的寿命は117年です。これらに基づけば、管理さえ良ければ築70年以上の寿命も可能だということになります。最近はマンションの管理に対する意識も向上しています。住人(管理組合)の意識が高いマンションは、国土交通省のデータが示した「築70年」を超えることも可能だと考えられます。