「ファンマーケティング」というマーケティング手法をご存じでしょうか?企業や商品・サービスに愛着を持っているファンを増やし、安定的な経営に繋げるファンマーケティングが現代では注目されています。ファンをしっかりと増やすことができれば、情報や環境が早いスピードで移り行くこの世の中でも、安定的に事業を拡大させることが可能となります。

そこで今回の記事では、ファンマーケティングの基礎知識や活用するメリット、ファンマーケティングを成功させるためのポイントについて解説していきます。ぜひあなたもファンマーケティングを活用して、自身の事業拡大に繋げていきましょう。

目次
ファンマーケティングとは
ファンマーケティングを活用するメリット4選

ファンマーケティングとは

ファンマーケティングとは企業や商品、サービスに対する熱狂的な「ファン」を増やしていくことによって、中長期的な売り上げを目指していくマーケティング手法のことです。どうしてファンを作ることが大切なのかの前に、まずファンとはどのような存在であるのかについて解説します。

ビジネスの世界でのファンとは企業の世界観、創業者の価値観、想いに共感して、熱狂的に企業を愛し、信頼している人のことを指します。最もイメージしやすいファンといえばApple信者でしょう。毎年Appleから発表されるiPhone、iPad、Macbookなどの発表に注目し、発売当日には店頭に行列を作る姿が記憶にあるのではないでしょうか。特別去年よりも進化したわけでも、競合他社と比べても安い訳でもありませんが、Apple信者と呼ばれる人たちは毎年必ず店頭に並びます。このように簡単には他の商品・サービスに目移りすることがないような行動をする顧客をファンと呼ぶのです。

そして、ファンを作ることが大きな売り上げに繋がる理由には「パレートの法則」が深く関係しています。パレートの法則とは別名「2:8の法則」とも呼ばれ、「会社の売り上げの8割は2割の顧客が生み出している」と考えられているものになります。そのため企業はリピートする2割のファンを大切にする施策を打ち出すことが多いのです。そしてファンマーケティングは、その2割のファンをさらに熱狂させることとファンを増やすことを目的としたマーケティング手法となります。

ファンマーケティングを活用するメリット4選

ファンマーケティングを実際に活用するメリットを4つ紹介します。しっかりと理解して自身の経営に活かしていきましょう。

安定した売り上げ基盤

ファンマーケティングの最大のメリットの1つは安定した売り上げの基盤を作れることでしょう。なぜなら会社の売り上げの8割は、熱狂的な2割のファンの存在によって成り立っているからです。そしてファンの特性として簡単に他の商品に目移りしないので、中長期的に安定的な売上を計上することができます。

またファンマーケティングの魅力として、成熟市場であっても安定した売上を計上できる点もあります。一般的に成熟市場では商品・サービスの品質や機能の面ではどの競合他社でも大きな違いがなくなり、最終的に価格によって顧客は購入の判断を下すようになります。そのため成熟企業では商品の価格が低下し、利益が縮小する傾向が見受けられます。しかし、高価格であっても商品・サービス、さらに企業に信頼をしているため、購入するといったファンが多くいる企業は成熟市場でも高い利益を得ることができます。前項にも出てきましたが、携帯電話市場のAppleが良い例です。

もうすでに市場は成熟していて、性能の面ではどの機種であっても大きな差がないので価格競争が多くなってきています。実際にスマホは安いものだと5万円以内で手に入るものもありますが、Appleは未だに10万円前後、一番高い商品に至っては15万円近くするiPhoneを販売しています。しかし、Apple製品を重宝している方達の力で高い利益を得ています。

このような事例からもファンは企業にとって安定的な利益を生み出してくれる大切な存在だということが分かります。逆に言えばファンを蔑ろにすると8割の売り上げを手放すことと同じであることを理解しておきましょう。

良質な口コミから新規顧客の獲得

ファンマーケティングが上手にできれば良質な口コミが生まれ、良質な口コミが生まれれば新規顧客の獲得がスムーズに行えます。一般的に新規顧客を獲得するには既存顧客を維持するための5倍の時間的コスト、費用的なコストがかかると言われています。経営を順調に行うために「コストをあまりかけたくない」と経営者であれば誰しもが考えることですが、売上を大きく伸ばしたいのであれば新規顧客の5倍のコストは避けては通れないといったもどかしさが存在しています。

そこで新規顧客をスムーズに獲得できる方法が良質な口コミです。例えばあなたがおいしいラーメン屋を探していた際に、一般的であれば食べログなどのWebサイトで口コミ評価の高いラーメン屋を探すでしょう。ですがもし友人が、通いつけのラーメン屋のことについて熱く語っておすすめをしてくれたら、一度そのラーメン屋に足を運ぼうという行動になるでしょう。このように友人が熱く語ってくれるという良質な口コミが他の友人をお店に呼ぶことができ、新規顧客の獲得に繋がるのです。

広告費の削減効果

ファンマーケティングを活用すると広告費の削減にも繋がります。会社経営において広告費の削減ができるというのは非常に嬉しいことです。一般的にファンとなった顧客は自分が熱狂的にハマっている商品・サービスを知ってほしいと考え、宣伝をするようになります。その宣伝として大きな力を持っているのがSNSでの宣伝と商品のレビューです。実際に商品・サービスを体験した人からの感想は、自社商品をPRするよりも効果があります。ファンの宣伝によって企業のブランドイメージは確立され、結果広告費の削減に繋がるのです。

実例として業界最大手のコーヒーチェーン店のスターバックスは、ファンが宣伝したくなるような商品と空間を作ることを意識したことで、ファンがSNSに投稿をしてくれるようになりました。その結果、CM等の広告費をかけずに世界的大企業に成長し、さらにファンのおかげで盤石な地位で他の追随を許さなくなったほどです。

良質なフィードバック

顧客がファン化すると良質なフィードバックが得られます。ファンとなった顧客は自身が使っている商品・サービスを競合他社よりもさらに便利で快適なものにしてほしいという想いから、どこを改善してほしいかということを具体的に伝えてくれます。このようなユーザー目線からの具体的なフィードバックがもらえるだけでなく、顧客がファン化していればファンは自発的に伝えてくれるのでコストゼロでフィードバックが手に入るようになります。通常であれば、このような良質なフィードバックは商品・サービスの割引や資金を使って調査することが多いので非常に大きなメリットと言えるでしょう。