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強烈なトルクステアで真っすぐ走らない
スタタボはGRヤリスの原点
強烈なトルクステアで真っすぐ走らない

写真はイメージです、『MOBY』より引用)
一般的なエンジン横置きFFはエンジンが右側に配置されるため、トランスミッションは右側に寄せられて左のドライブシャフトが短く、右のドライブシャフトが長くなります。そのため路面への駆動力伝達に左右で時間差が生じ、アクセルペダルを踏み込むと、駆動力がかかった瞬間に、前輪が右側に振られてしまう「トルクステア」が発生します。
現在の車ではほとんど意識できないレベルにまで軽減されているものの、当時の車はトルクステアへの十分な対策がされていませんでした。さらにトルクステアは大きな駆動力がかかるほど強く発生するため、高出力ターボエンジンを搭載したスターレットGTは、駆動力がかかった瞬間に強烈なトルクステアが発生していました。
ターボラグも相まってどこへ飛んでいくかわからない

ターボラグにより、トルクステアが発生するタイミングを正確に予測ができない点も問題です。先代に比べればドッカンターボは改善されたものの、この時代の車としては相応にターボラグがあります。不用意に加速すると過給圧が高まり、トルクが立ち上がった瞬間にステアリングがグイっと右に切れ、トルクステアが弱まるとステアリングを抑えていた力が勢い余って左に切ってしまうことも。
全開加速時は、路面のグリップと駆動力が変化するたびにステアリングが左右に振られるため、加速の際はしっかりとハンドルを保持する必要があるなど数多くのスターレットGTの逸話がありました。
減速時も真っすぐ止まらない
EP82型スターレットはFFらしくフロントヘビーなうえ、リアサスペンションの出来も悪かったようで後輪の荷重が抜けやすく、横Gを残したままのブレーキングをすると車が真横を向いてしまうことも。
ステアリングとアクセルでフロントタイヤを立て直そうにも、正確なコントロールが難しく、フロントブレーキがロックしやすい悪癖もありました。
スタタボはGRヤリスの原点

もちろんEP82型スターレットは、低速でタイヤのグリップ内で走行すれば普通のコンパクトカーとして使えます。ただし性能を発揮させようとすれば、常にトルクステアとアンダーステアとオーバーステアと格闘しなければ、まっすぐ走ることも難しい車でした。
現代の基準に照らし合わせれば、EP82型スターレットGTは明らかに「やり過ぎな車」といえるでしょう。しかし、そのじゃじゃ馬ぶりをドライバーの運転技術でねじ伏せて走らせる事が、腕利きの車好きにはたまらなく、EP82型スターレットGTは現在でも根強い人気がある車の1つです。
その後もトヨタは懲りもせず、5代目スターレットにもターボモデルの「グランツァV」を設定。車体がヴィッツに変わっても、TRDからヴィッツターボやヴィッツ GRMNなどを限定で発売。狂ったようなスペックが与えられながらも、悪癖を一切出さずに走るGRヤリスの原点は、「スタタボにあり」と言えるかもしれません。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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