全店で職人による打ち立て、茹で立てのうどんが楽しめる「丸亀製麵」。モチモチの食感で喉ごしも抜群のうどんを気軽に楽しめることで人気のチェーン店だが、大半の店舗には存在しないレアな職人がいるのはご存知だろうか。紺色の帽子と白地に紺色のラインが入った制服を着こなし、ファンからは「青い服の職人」と呼ばれ噂になっている「一つ星麺職人」。2016年に導入された「麺職人制度」のもと、スタッフの技術力や経験に基づき、実技、筆記試験を経て獲得できる、いわばワンランク上の麵職人たちなのだ。
2023年3月時点で1192人存在し、さらにワンランク上となる「二つ星職人」はなんとまだ4人しかいないとのこと。なお都内77店舗中26店舗に「一つ星職人」が存在しており(2022年12月末時点)、将来的には全店で星を持った麺職人がいる状態を目指すそうだ。
丸亀製麵では、常に美味しいうどんを提供するべく、画一的なマニュアルではなく、各々の職人に判断を委ねるという名目で製麺技術を教えているという。そして、よりブラッシュアップされた一つ星麺職人の洗練した技術によって作られたうどんは、通常の職人が作ったうどんよりも美味しいのだとか。
だが実際のところ、チェーン店という業態において職人の質次第で美味しさが変わるのかは怪しいところだ。そこで今回は一つ星麵職人がいる店舗といない店舗のうどんを食べ比べ、その美味しさの違いについて徹底レポートしていきたい。
普通の店舗でも、うどんは美味しい
今回のレポートでは、うどんをよりよく味わえるよう「釜揚げうどん(並)」(340円)を選択した。主に小麦の風味や麺のコシ、茹で加減を評価軸として、レビューしていく。

はじめに一つ星麵職人のいない通常の店舗に足を運ぶ。今回は神奈川県川崎市にある「川崎多摩」店へと向かった。最寄り駅である京王稲田堤駅から徒歩15分ほどの郊外に位置し、駐車場もしっかりと完備されている店舗となっている。店内は郊外にある店舗のためか、広々としており、厨房もスペースが十分にあるという印象だ。
注文してから間もなくうどんが登場。通常の丸亀製麺の店舗であれば、最初の会計時にうどんが提供されるが、訪れたのがちょうどお昼時だったため、出来上がり次第、席に届けられるというシステムとなっていた。
ちょうどいいタイミングで茹で上がったのか、麺の繊維がふにゃふにゃになっておらず、艶が出ていた。見た目的にはたまらなく美味しそうなので、さっそくだしにつけて食べてみると、口当たりはなめらか、食感はモチモチとしていて美味。食べた瞬間に小麦の香りがほのかに鼻を突き抜けた。丸亀製麺では100%国産の小麦を使用しているため、海外産とはまた違うより小麦の香りが立つ仕上がりになっているのかもしれない。ほどよく塩気の効いただしとの相性も抜群だった。
一方、麺のコシはというと、たしかに弾力があってそこそこ歯応えはあるのだが、強烈な嚙み応えは感じられなかった。おそらく讃岐うどん特有のコシが生まれるか否かの瀬戸際の部分で、麺自体の水分量が微妙に異なっているため、若干コシが弱くなっているのかもしれない。総合的にまとめるのであれば、口当たりや食感は並のうどん以上ともいえるクオリティだった。だが、讃岐うどんならではのコシはもう少し欲しかったところである。