3位:シュヴィルツォク
今夏、大宮からリリースされた移籍情報に多くのJリーグファンが驚いた。昨年までJ1名古屋グランパスに所属し、今年2月に母国ポーランドのザグウェンビェ・ルビンへ移籍していたFWシュヴィルツォクの獲得を発表したのだ。当然、J2残留に向けての起爆剤として活躍を期待されたが、9月30日の第37節大分トリニータ戦で負傷。重要な最終盤に大きな戦力を欠くこととなってしまった。
加入後の出場はわずか10試合となっているが、フリーキックから圧巻のゴールを決めるなど全3ゴールをマーク。柔らかいボールタッチのドリブルやキープ、ゴール前での冷静さや高さといった武器で大きな存在感を放っていた。負傷については母国へ一時帰国して治療しているとの発表がなされている。J3降格により去就の注目度が高いことに加え、チームに残留すれば来季J3の環境を破壊するほどの選手になり得る期待感も込めて、手放せない選手3位とした。
2位:室井彗佑
シーズン序盤から中盤にかけては途中出場が多かったものの、終盤には多くの試合でスタメンに名を連ねたFW室井彗佑。第36節の徳島ヴォルティス戦から続いた4連勝では、2ゴール1アシストと結果も残し残留への期待を背負って躍動していた。背後への飛び出しや簡単には倒れないドリブルでチャンスを生み出し、小柄ながら空中戦でも身体の強さを発揮して実際にゴールも奪っている。
大宮のFW陣では、FWシュヴィルツォクが負傷離脱中であり去就はもちろん復帰時期が不透明となっている。加えて今季攻撃を支えたFWアンジェロッティは、J1柏レイソルからの期限付き移籍のため満了に伴い復帰することが既定路線だ。となれば、より若くこの1年で能力も証明してきた室井の存在は大宮にとって大きなものとなるだろう。大卒ルーキーながら確かな活躍を見せたことに加え、同ポジションの主力選手の状況も踏まえて、手放せない選手2位とした。
1位:高柳郁弥
大卒ルーキーながら今季36試合に出場し、すでに欠かせない選手の1人となったMF高柳郁弥。中盤のサイドや中央と複数のポジションで起用されたが、いずれもハイレベルなパフォーマンスを見せていた。視野の広さと高いキックの精度を併せ持ち、サイドから冷静に中を見極めたクロス、中央縦に入れるパス、そしてセットプレーと数多くのチャンスを演出。後方からボールを受ける際も、的確に周囲の状況を把握してワンタッチで前を向くなど、卓越した技術で大宮の中核を担った。
中盤であればどこでも務められることに加え、ゲームコントロールとチャンスメイクの巧さを見せたことで、J2クラブはもとよりJ1クラブから声がかかることも十分にあり得る。とはいえ、大宮にとってもすでに中核を務めるダイヤの原石であることは事実。今夏アカデミー育ちのMF柴山昌也(現セレッソ大阪)を失ったことも踏まえ、次世代を担う存在をこれ以上手放すわけにはいかないチーム事情と高柳の能力の高さから、手放せない選手1位とした。