金融機関への返済、各種の支払いが遅れ始める
綻びはほんのちょっとしたことから見えてくるものです。もうひとつのシグナルは「支払いの遅れ」。
例えば、各種の支払いというのが会社経営にはあります。家賃や光熱費などの基本的なものに加え、各種の外注費。税理士の顧問料や金融機関からの借り入れの返済なんかもそうですね。会社というのは、様々な協力者のもとに成立しているといえます。
こうした毎月の支払いの多くは、引き落としのような「何もしないで口座から支払う」というパターンが多いといえます。クレジットカードの支払いとかもそうですね。
こうした毎月の支払いに遅れが出るのです。これは「遅れた」というより「銀行の預金残高が不足した」という事実に注目すべきです。だいたいこの事実がわかると社長は「ああ、残高不足ね。ほかの口座から支払うから。たまたま口座にお金がなかっただけで、問題ないよ」ってなもんで、まったく問題ないことを強調します。
もちろん、会社が複数の銀行口座を持っていることはよくあることですし、引き落とし額がたまたま生命保険料など高額だったというのならわかります。そして、それが事実ならば単なる管理ミスなのでしょうけど、支払いに使っている口座の残高が一瞬でも引き落としに耐えられない残高になるって、ちょっと大丈夫かな……と思うのが心情です。
これには2パターンあって、本当に会社の資金繰りがヤバくてお金がない場合がひとつ。そして、本当にいるんですけど、マジでお金の管理がだらしないだけっていう場合もあります。
中小企業って、本当に社長で決まるんです。社長の性格がこうした結果を生むわけですが、いずれにせよ、お金にだらしないってのは不安要素ですよね。
ちなみに、金融機関への返済は、仮に引き落とし不能でもきちんと連絡をして当月中に返済をすればセーフ。翌月になれば取引先としての評価が下がります。金融機関の担当者からすると「いつもは引き落としできていたのに、最近は即日引き落としじゃなくなってきた」というのは要注意として見るそうな。様々なところに、変化って表れますね。
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横須賀 輝尚 パワーコンテンツジャパン(株)代表取締役 WORKtheMAGICON行政書士法人代表 特定行政書士 1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ1,700人以上が参加。著書に『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、『士業を極める技術』(日本能率協会マネジメントセンター)、他多数。 会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業 | 横須賀輝尚
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2023年10月24日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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