手漕ぎと足漕ぎの違いは?

以上のように、2人乗りカヤックのメリット・デメリットをご紹介しましたが、2人乗りカヤックのなかでも「手漕ぎと足漕ぎどちらのタイプを選ぶべきか」という問題もあります。

手漕ぎのメリットとデメリット

カヤックフィッシングを、「パドルスポーツ」としても楽しみたい方には手漕ぎモデルが向いているでしょう。

手漕ぎの2人乗りカヤックは、良くも悪くもパートナーとパドリングや方向転換のタイミングなどを合わせる必要があります。

パートナーとバッチリ息が合って、スイスイと動きまわることができれば、釣りをせずに漕いでいるだけでも楽しいアクティビティに。なかなかうまくいかないことを、2人でクリアしていく楽しさがあるといえます。釣行数を重ねていくと、パートナーとの「相棒感」のようなものが生まれてきて楽しいですよ。

反対に、慣れないうちは思い通りにカヤックが進まず、釣りどころではないこともあります。細かな点では、フロント側のパートナーがパドルでかき上げる水しぶきによって、リア側に座った人が濡れてしまいがちなところも気になりますね。

足漕ぎのメリットとデメリット

「今日はじめてカヤックに乗せる友人に、どうしても魚を釣らせてあげたい!」と、魚を釣ることにフォーカスするならば、足漕ぎの2人乗りカヤックが断然おすすめです。

足漕ぎカヤックならば、はじめて乗った30分後には釣りに集中できるほど操作が簡単です。推進力(ドライブ)と方向転換(ラダー)の機能が分かれているため、2人で息を合わせることがあまり必要ありません。漕いだ分だけ前進し、方向転換はレバーをちょっとひねるだけ。

手漕ぎと足漕ぎ、どちらが釣りに集中しやすいかといえば、足漕ぎカヤックに軍配があがるといってよいでしょう。あえてデメリットをあげると、価格が高くなってしまう点でしょうか。足漕ぎカヤックの心臓部で、最も複雑で高価なドライブ(駆動部)が1つ追加になるため仕方ないところですね。

1人乗りと2人乗りのカヤックは【どちらが釣り向き?】 オススメのタイプも紹介足漕ぎ式のほうが釣りに集中できる(提供:HOBIE JAPAN)

おすすめの2人乗りカヤック紹介

今回は、筆者が愛用するホビーカヤックの中から、2人乗りモデルを2艇ピックアップしてご紹介します。

ホビー ミラージュ・コンパス デュオ

エントリーモデルのカヤックとしては、抜群の安定感とスピードを誇る「コンパス」のタンデムバージョンが「ミラージュ・コンパス・デュオ」。

1人乗りと2人乗りのカヤックは【どちらが釣り向き?】 オススメのタイプも紹介MIRAGE COMPASS DUO(提供:HOBIE JAPAN)

前進のみのドライブと、バックも可能なドライブの組み合わせです。

2人乗りでバックなんて使うかな?と思う方もいるかもしれませんが、2人乗りカヤックにこそ必須といえる装備です。その理由は、バック機能を強力なブレーキとして使えるから。

ただでさえスピードが出るホビーカヤックを2人で漕いだ場合、かなり勢いよく突き進んでいきますが、意外と困るのはカヤックが止まらないことです。

魚探に反応があっても、ポイント上をスーっと通り過ぎてしまうのは、良くも悪くも水の抵抗が少ないミラージュドライブの知られざる弱点。バック機能を使えば簡単にポイント上に戻ることもできます。

ラダーを操作するレバーは、後部の左側にのみ装備されていますので、操作に慣れた上級者の方がリアシートに座ることをおすすめします。

ホビー ミラージュ・アイトレック14 デュオ

2人乗りカヤックのネガティブな要素である重量増。それをクリアするインフレータブル(空気を入れる)タイプがミラージュ・アイトレック14デュオ。船体のみなら約20kg、ドライブやシートなどを装備しても約33kgと、1人乗りモデル並みの軽量さです。

また、軽自動車での運搬が可能な点も魅力的。現在の法律では、車に積載できるのは車長の1.2倍までという制限があるので、本来なら全長417cmのカヤックは軽自動車には積めません。

しかし、インフレータブルタイプのアイトレック14デュオなら、たたんで車内に収納可能です。抜群の安定性と運びやすさを、2人乗りで楽しめる貴重なモデルといえますね。

1人乗りと2人乗りのカヤックは【どちらが釣り向き?】 オススメのタイプも紹介MIRAGE ITREK 14 DUO(提供:HOBIE JAPAN)