清水エスパルス(J2最終順位:4位)
最終節の悔しさを晴らせるか
モンテディオ山形とのJ1昇格プレーオフ準決勝を0-0で引き分けた清水エスパルス。同点の場合、リーグ戦での上位クラブが決勝に進むレギュレーションのため、清水が決勝へと駒を進めた。
そもそもJ2最終節が始まる前の時点ではリーグ2位で自動昇格圏内におり、勝利すれば自力でJ1行きを決められる状況だった。ところがプレッシャーからか攻守に精彩を欠き、水戸ホーリーホックに1-1で引き分け。自動昇格を逃し4位まで転落してしまった。少なからずショックはあったようだが、何とか立て直し決勝の舞台へ挑む清水。1年でのJ1復帰を達成するためにも負けられない戦いだ。
守備のキーマンにはDF山原怜音を挙げたい。抜群のクロス精度を誇るサイドバックは、チーム全体が低調だった水戸戦でも、勝利への強い意欲を示し続けた。紙一重の差が勝敗を分ける大一番では、攻守に貪欲な山原の存在が強みとなるはずだ。
攻撃のキーマンにはFWカルリーニョス・ジュニオをピックアップ。山形との準決勝ではベンチスタートながら、後半12分で途中出場すると23分にはドリブルで持ち運び強烈なミドルシュートを放った。これはポストに防がれたものの、この試合最大ともいえる決定機を生み出した。リーグ戦では左サイドハーフの位置からチーム得点王となる15得点を決めており、決勝での起用法にも注目が集まる。
カルリーニョスやトップ下のMF乾貴士などJ2では止めるのが難しい選手が複数おり、拮抗した展開や劣勢ながらもスコアで上回る可能性は十分にある。自動昇格を逃した悔しさをぶつけ「戻るべき場所」へ戻ることができるだろうか。
拮抗する決勝戦の行方
両チームの今季対戦を振り返ると、IAIスタジアム日本平で開催された第8節は2-1、味の素スタジアムで開催された第29節も1-0で清水が2勝している。第8節では東京Vが早々に先制したものの、その後は清水が主導権を握り後半45分に逆転。第29節も東京Vが積極的にスタートを切ったものの、徐々に清水のペースへと移行していった。
清水は山形とのプレーオフ準決勝でも、途中出場したカルリーニョスやFW北川航也らが次々と好機に絡んだ。決勝での起用法にもよるが、序盤は東京Vがリードし、時間の経過とともに清水のペースになる可能性が高そうだ。ただし、チーム力に大きな差はなく明確にどちらが有利ということはないだろう。
チームの総合力で戦い引き分けでもJ1昇格となる東京Vか、今季2戦2勝と相性が良く圧倒的な個を有する清水に軍配が上がるのか。互いにタイプが異なるチームのため、それぞれの良さが発揮される好ゲームとなりそうだ。結果の予想は難しいものの、ヒリヒリ感溢れるサッカーの魅力が詰まった90分間となることは間違いないだろう。