本来自衛隊はウクライナに調査団を派遣するなり、こういう組織に教えを請うべきです。

まあ、防衛省や自衛隊がこんな記事に興味を持つことは無いでしょう。戦争を前提としない国営サバゲーチームですから。

だから部隊の医官充足率が2割程度で、護衛艦や潜水艦に本来乗っているはずの医官がのっていなくても平気のへっちゃらです。

何度も書いて恐縮ですが、ぼくが指摘するまで陸自の個人携行衛生キットは止血帯・包帯各一個で、これを、陸幕長も、防衛大臣も米陸軍と同レベルですと衛生部に騙されていました。

岸防衛大臣は大臣当時ぼくの質問に答える形で、ウクライナに送った防弾装備の追跡調査はしない、そんな人体実験みたいなことはやらないと、どっかの世間知らずにお嬢様みたいなことを言っていました。

米国にコンバットメディックの研修に行っても、その内容を帰国後に話すなと釘をさされます。現状を変えたくないのでしょう。

そして現在の平和ボケな戦傷医療体制を変えようと努力する医官らは、異端者として扱われていじめられ、疎まれます。結果、これらに詳しい医官やメデックはほとんど愛想をつかして退職しています。

その好例がスーダンからの邦人退避で活躍したジプチ大使館の後藤元二佐です。彼は東日本大震災の折、仙台空港に強行着陸をする海兵隊のC-130の作戦のコーディネーターでした。彼が根回しをしていなければ、この作戦は成立していなかったでしょう。

こういう人材をどんどんイビって追い出しているのが防衛省、自衛隊という組織です。昨年は後藤二佐を筆頭に自衛隊中央病院の眼科医4名全員が退職しました。まともな病院だったらこんなことは起こり得ないでしょう。

どうせ戦争などおきない、前例踏襲で楽をした方がいい、改革をして前任者の顔をつぶすなという組織防衛が優先されています。

ですから、18式防弾ベストにしても、プレートキャリアがスタンドアローンで使えない。ソフトアーマーはプレートキャリア貼り付けるベルクロが貼ってあるので、装備をつけて単体のボディとして使用することが出来ません。こんな欠陥品を何の疑問もなく導入するわけです。

若い隊員が愛想を尽かして止めていくのも当然です。

戦争する気がないならば、自衛隊は災害派遣を専門にする国土防衛隊に組み替えてよろしいでしょう。どうせ今のままで戦争すればボロ負けは見ています。

何より、一線の隊員が他国では助かる命が助からず、苦しみながら死んでいくことになるのは避けられるでしょう。

編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2023年11月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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