4ドアGT-Rも設定された、9代目R33系(1993年)
9代目R33末期にオーテックバージョンの特別仕様車として販売された、スカイラインセダンGT-R40thアニバーサリー
販売面では失敗に終わったR32系の反省から、次の9代目R33はショートホイールベースでスポーツ性の高い、そしてGT-Rのベースとしても最適な2ドアクーペと、ローレル姉妹車でロングホイールベース、車内空間にも余裕のある4ドアセダンの2本立てで開発されます。
しかし、1990年代に入った頃の日産は「901運動」と呼ばれる、主に走りの面から高品質化を図った商品群が名車として讃えられる一方、販売面では費やしたコストに見合わない結果となって収益面で非常に苦しかったところへバブル崩壊(1991年)が直撃。
開発中のR33スカイラインはコスト削減でロングホイールベースの4ドアセダン寄りへと1本化を余儀なくされただけではなく、デザインも消化不良な形でのデビューとなります。
さらに税制改革で税金が安くなった3ナンバーボディが標準となった結果、クーペは大きすぎ、セダンに至ってはズングリしてスポーティではないと猛烈に批判され、マイナーチェンジで大幅なデザイン変更を余儀なくされたあたり、R31と似た運命をたどりました。
ただ、R32から大きく印象が変わったとはいえ、余裕のあるボディや高速安定性といった面で好ましい性能向上が見られたのも事実で、実際にはRVブームでセダンやクーペの需要低迷という現象が、スカイライン人気の凋落に拍車をかけただけと現在は理解されています。
セダンも1997年には、初代発売40周年記念の特別仕様車「GT-R オーテックバージョン40th アニバーサリー」を発表(発売は1998年1月)、2ドアGT-Rとは異なる魅力を再確認させるなど、玄人好みするのがR33スカイラインセダンでした。
考えようによっては「最後のスカGセダン」?10代目R34系(1998年)
GT-Rやクーペほどの派手さはないが、それだけに大人のスポーツセダンとしての品格さえあった9代目R34スカイラインセダン25GT-Xターボ
直6エンジンを搭載するスカイラインとしては最後となった10代目R34は1998年5月に登場、セダンとクーペでプラットフォームが共通なのは変わらないものの、「ボディは力だ」をキャッチフレーズにねじれ剛性を大幅に強化して、4ドアも立派なスポーツセダンへ。
GT-Rを除くホットモデル用の2.5リッター直6DOHCターボエンジンRB25DETTは、当時の自主規制値いっぱいの最高出力280馬力に達し、R32やR33のようなオーテックバージョンは設定されなかったとはいえ、直6スカGセダンの最後を立派に飾りました。
ラインナップ上でも「大人のスポーツセダンとしてのスカイライン」を強調すべく、2WDの2.5リッター自然吸気エンジン・MT車に、タイヤやブレーキ、LSD、電動SUPER HICASなどターボ車道用の装備を施した「25GT-V」を特別仕様車でクーペより先行して設定。
日産自体が深刻な経営危機であり、需要の減少が止まらない4ドアセダン/2ドアクーペへ十分なコストをかけられない中ではありましたが、ローレルと異なり2000年代以降もプリンス以来の伝統ある「スカイライン」の名を残すのに、重要な役割を果たしました。
この次のV35からは、日産の海外向け高級車ブランド「インフィニティ」向けスポーツセダン/クーペを、日本では「スカイライン」として販売したため、純粋な日産車として、あるいはプリンス由来のスカイラインとしては、このR34が最後という考え方もあります。
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文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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