札幌戦以降の復調の要因は
湘南にとって風向きが変わったのが、1-0で勝利した第27節北海道コンサドーレ札幌戦以降。ビルドアップ時にウイングバックが低い位置をとってしまい、相手のプレスの餌食となる現象は、この試合から減った。
センターバックからウイングバックへのリスキーなパスが減り、試合の主導権をやすやすと相手に渡さなくなった湘南は復調。第28節川崎フロンターレ戦では0-2の黒星を喫したものの、第29節セレッソ大阪戦以降の5試合で4勝1分けと健闘した。
降格危機のなかで気を吐いた選手は
鹿島からの期限付き移籍で加入したDFキム・ミンテ、KVコルトレイク(ベルギー)への期限付き移籍から復帰したMF田中聡の奮闘も、湘南の浮上の原動力に。今夏に同クラブに加わったこの2人が持ち前の対人守備力を発揮し、J1残留に貢献している。今季途中の加入でありながら、キムは自チーム内で3番目に多い70回のクリア数、田中は6番目に多い25回のインターセプト数を叩き出した(数値はデータサイト『SofaScore』より。11月26日時点のもの)。
第33節終了時点で13ゴールと、入団5年目にしてキャリアハイの得点数を叩き出しているFW大橋祐紀、今季最終盤に好セーブを連発したGK富居大樹、第27節札幌戦での的確なポジショニングで味方のパス回しを助けたGK馬渡洋樹にも敢闘賞を贈りたい。効果的な戦術修正がなかなか施されないなかで、彼らの奮闘が最終的に物を言った。
昨シーズンの湘南の勝ち点は41。今シーズンは最終節を前に34に留まっているため、昨シーズンの勝ち点を下回ることが確定している。失点数が昨年の39から今年は55にまで膨れ上がっていることも踏まえると、湘南のチームとしての完成度は落ちたと論評せざるを得ない。戦術の不備の修正が大幅に遅れたことで、長く勝利から遠ざかってしまった点については、チーム全体で省みる必要があるだろう。