理工系の女性を歓迎する動きも多い
それでは実際の就職では理工系の女性が苦労したり、就職先が少なかったりすることは解消されてきているのだろうか。
「理工系の女性は人事の世界で『リケジョ』と呼ばれ、企業からはかなり歓迎されていると感じています。実際に、リケジョ専門の就職フェアや転職フェアも開催されています。一方で、OECD(経済協力開発機構)の調査によると、21年時点の日本の高等教育機関の卒業・修了生に占める女性の割合は工学・製造・建築の分野で16%で、日本は加盟38カ国のなかで最下位であることがわかっています。この少ない理工系の女性を採用しようと企業はより力を入れているわけです。産休の仕組みに力を入れていたり、産休からの復帰率を公表したり企業も工夫をしています」(同)
企業側が理工系の女性に対し、期待していることはどのようなものなのか。
「女性のほうがクリエイティブだとか感性が高いという話を耳にしますが、企業として女性特有のそういった能力を求めているということではないようです。組織を多様化して、いろいろな属性の人で構成することで創造性を高めたいというのが企業の考えなのでしょう。その一環として女性に着目しているということです。グローバルに活動する企業であれば、女性の雇用だけでなく国籍や人種という観点でも割合を設定しているケースも耳にします。ただ、女性の雇用を促進するには、産休の仕組みや産休後の職場復帰のフォローなどが必要となり、財務的に余裕がない企業では後手後手になってしまっている場合もあります」(同)