最後に、年齢別の解剖実施割合のグラフです。10代、20代、30代では40%を超えています。

接種後死亡者の剖検率(解剖の実施割合)11.7%は低いのか?

公表されている病院の剖検率を調べてみました。済生会滋賀県病院:1.9%(2021年度)、佐世保中央病院:2.0%(2020年度)、岐阜県立多治見病院:2.3%(2022年度)、藤田医科大学病院:1.6%(2021年度)でした。

厚労省の調査(2017年度)では、8412病院のうち剖検を実施している病院は1324施設で、剖検率1.6%でした。病院機能評価データブック(2012年度)によると、自施設による剖検率は、平均4.0%、中央値2.3%でした。

以上のデータより考えますと、接種後死亡者の剖検率11.7%は決して低いとは言えません。特に10代~30代は剖検率は40%以上ですから、むしろかなり頑張って剖検が実施されていると言えます。

剖検率および剖検数を現在より上昇させることは可能か?

剖検数を増やすことは現実にはかなり難しいと考えられます。何故ならば、病理医の数が足りていないからです。司法解剖が実施される場合もありますが、法医学を専門とする医師も足りていません。なお、司法解剖の場合は遺族の承諾は不要ですが、病理解剖の場合は遺族の承諾が必要です。

2017年の記事ですが、30年で病理解剖(剖検)は7割減少したと報道されています。ただし、接種後死亡者は接種3回目以降は激減していますので、分母が減少した結果、剖検率が上昇する可能性はあります。

剖検数が増加すれば、α評価事例数(因果関係が否定できない)は増加するか?

剖検した方が望ましいのは確かですが、剖検により大幅にα評価事例が増加するとは、私には思えません。剖検ではっきりするのは死因です。剖検により、突然死や心臓死の事例のなかに心筋炎の事例が見つかる可能性はあります。しかし、因果関係まで判明することは、ごく一部の事例にとどまると考えられます。

α評価事例を増やすにはどうするべきか?

以前公開した論考で指摘したように、疫学的研究や免疫組織化学的研究などの特別な研究的手法が必要です。どちらもマンパワーが必要であり、予算措置も必要です。厚労省は、これらの研究に積極的に取り組むべきであると、私は考えます。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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