金融庁は、かつて、金融行政方針のなかで、金融庁職員に対して国益への貢献を求めると述べて、金融界に新鮮な衝撃を与えた。衝撃だったのは、そこに金融庁自身の改革にかける強い思いが溢れていたからだが、今にして冷静に思えば、国家公務員の使命が国益への貢献であることは自明であって、自明のことを述べて新鮮に響くことは異常なのである。
当時の金融庁の思いからすれば、自分の意思で国家公務員を目指してきた人は、少なくとも入庁時には国益への貢献に燃えていたはずなのに、時間の経過とともに金融庁という組織への貢献に没頭するに至る事態に対して、原点への回帰を求めざるを得なかったのである。

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金融庁として、金融庁職員が国民の利益のために働くべきものなら、金融機関職員に対しては、顧客の利益のために働くように求めざるを得ず、そのことは、より具体的に、金融機関の経営者に対して、組織のためではなく、顧客のために職員が働く風土の醸成を求めることになるわけで、その範を垂れるために、金融庁は、自分のところの職員に対して、国益への貢献を求めたのである。