怪我をしてから治療を受けるまでの時間は、負傷者の生死やその後の回復に大きく影響する。この時間を延長させる研究プロジェクトがアメリカで開始されるという。今月6日付で英「Daily Mail」が報じている。

■生物学的時間を遅くする

 重傷を負った後、最初の一時間は“ゴールデンアワー”と呼ばれる。負傷者の救命率はこのゴールデンアワーの間に適切な医療機関へと送れるかどうかにかかっている。だが、特に戦場において、負傷者にできるだけ早く適切な医療処置を施すのは難しい。医療スタッフや設備、薬の準備には限りがある。

 そこでアメリカ国防高等研究計画局(DARPA)は、負傷者の“生物学的時間”を遅くすることを目的に、新たなプロジェクトを開始した。負傷者の時間を止めて、ゴールデンアワーを延長させようというのである。

 バイオスタシスプログラムと呼ばれるこの新プロジェクトは、生物の体内で起きている生化学的なプロセスに焦点を当てている。分子レベルでは、生命は一連の生化学反応である。負傷者の体内で起きている生化学的反応を停止、あるいは遅らせ、システムの崩壊(要するに死)までにかかる時間を延長しようというのである。

人間の「生物学的時間」を遅くする “人類クマムシ化”延命法とは(DARPA)
(画像=画像は「Daily Mail」より引用,『TOCANA』より 引用)