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世の中は多彩な「仕事術」が花盛りです。交渉術、整理術、ノート術、メモ術まであります。それらの仕事術をマスターしたら社内で評価されるのでしょうか。答えは「否」。そんなスキルをマスターしても評価されません。今回は評価される仕事術について解説します。

「ヨイショ」「ゴマすり」はスキル

「ヨイショ」「ゴマすり」というとネガティブな印象を持っている人も多いかもしれません。むしろ、普通の人が嫌がってなかなかできないことにこそ価値があります。

筆者はこれまで、「絶対にこの人にはかなわない」という人にも会いました。その人のやることなすこと、分かりやすすぎるくらい「ゴマすり」なのです。A社に勤務する「すり夫」(仮名)さん。「すり夫」さんの背は低く、中年太り、髪は薄く、ファッションセンスもありません。

「いや~社長、そのネクタイ、とても素晴らしいセンスでいらっしゃいますね」。ネクタイを褒めるのはゴマすりの代名詞のようなものですが、その「すり夫」さんは、堂々とゴマすりの王道をいきます。

「社長、今のお言葉、素晴らしいですね。大変恐れ入りますが、お言葉を書にしたためていただくことはできませんでしょうか」。そう言うと、懐からサッと毛筆ペンを取り出し、自分の手帳の一番最初のページを差し出します。

「ええ、こんなところに書いてしまっていいのかね。大事な手帳でしょ?」と社長。「いいんです。社長のお言葉、本当に素晴らしいものでしたので、ぜひお願いします。むしろ、色紙を用意しておらず、申し訳ございません」と「すり夫」さん。

「すり夫」さんのテクニックは、聞いているこちらの背中がムズムズしてくるようなゴマすり術でした。とにかく、あれやこれやのテクニックを使ってゴマをすりまくるのです。ゴマすりも極めれば、立派なテクニックです。

「すり夫」は誰からも好かれます。社内外の信頼も厚く、当時の職責は事業部長。必死になってあくせく働くのではなく、「すり夫」さんのような仕事術は、大いに参考にすべきではないかと思います。