率直に申し上げて時代遅れの議論です。まだF-4やF-15あたりをライセンス生産していた時代のセンスです。いかに政権与党の「実務者」に実務能力がないかがよく分かる議論です。

そもそもライセンス生産というのは提議は色々ありますが、基本的にコンポーネントの国内生産が高いものを指します。例えばF-4やF-15などはまごうことなきライセンス生産ですが、MCH-101やAH-64D、F-35などはほとんど組み立てで一般にはアッセブリー生産と呼ばれます。これらは高度な生産技術は移転されません。ガンプラの組み上げと同じです。

本来ライセンス生産とアッセブリー生産の違いをまず明確に提議すべきです。

そして現在の我が国「ラインセンス生産」は「アッセンブリー」生産に過ぎません。それは調達数が減っており、コンポーネントや部品を国内で生産すると非常に高くなるからです。ですが、そのアッセンブリー生産でもオリジナルの3〜5倍とかいうのが普通にあります。火器などは更に品質が低いという問題もありました。

必要なのはライセンス生産ではなく、コンポーネントの生産分担を取ることです。これには素材も含まれます。そしてそのためのオフセットの活用です。例えばCH-47などは川重で年にわずか数機しか作ってきませんでした。それを増やそうとしたら1機200億円を超える値段となりました。

そもそも少数生産なので効率が悪いし、「ライセンス生産」して将来自社開発につながるわけでもない。

であれば、機体やコンポーネントの一定比率の生産分担を勝ち取り、日本では完成機を作らずに、機体整備だけすればよろしい。自衛隊にそもそも開発を指導する能力はないので、あれこれ日本仕様に変えずに、無線機など最低限に留める。無線機も外国製品の方がいいかと思いますが。

そうすれば有事には海外から完成品を回してもらえます。そのような相互の取り決めを作っておくべきべきです。国内生産は戦時に必要だというのはウソです。まず急速にラインを拡大出来ませんし、コンポーネントも多くは輸入品です。戦時に増産はフィクションです。例えば「国産飛行艇」のUS-2にしろ、5年に1機ですから増産なんて何年かかりますか。それにレーダーやエンジンなど多くのコンポーネントは輸入品です。

そうであれば「ライセンス製品」を輸出するよりもコンポーネント生産シェアを獲得すべきです。そういう議論が「実務家」である自民や公明党の先生方には出来ないようです。

編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2023年11月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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