しかし、(1)については、開示を避けるために「繰延報酬」を作出したからと言って、「作出」が金商法違反になるのではなく、作出した「繰延報酬」を有価証券報告書に記載せず、「虚偽記載」をすることが金商法違反の法令違反になるのである。

(2)については、「金商法逮反の疑義が高く、金融庁からの課徴金等の負担を原告に生じさせ得る性質の行為」というだけで、善管注意義務違反になるというのであれば、疑義がある会計処理に基づく有価証券報告書の記載があるだけで善管注意義務違反に当たることになる。

(3)についても、ガバナンスの効かない状況を自ら作出したうえで原告の負担のもとに利得を得る行為がすべて善管注意義務違反に当たるというのであれば、ガバナンスに問題がある会社の社長の行為はすべて善管注意義務違反になってしまう。

いずれにして、そのようなことで、法令違反や善管注意義務違反に問われる、ということになれば、取締役や会社幹部は破産者が続出することになる。

結局、「支払が繰り延べられた確定報酬」というのは、仮に、ゴーン氏が支払を請求したとしても日産は一切支払わないものだったということなのである。

日産が主張する「繰延報酬」なるものは、それが「確定報酬」であったとしても、実際には、いろいろ理屈をつけて日産は支払を拒絶するということのようだ。そうであれば、「支払われることのない繰延報酬」を、有価証券報告書に記載して開示する義務もない、と考えるのが当然であろう。開示義務がなければ犯罪にはならない。

今回の民事訴訟での日産の主張は、日産経営陣と検察の画策によって行われた「会長追放クーデター」での「ゴーン氏逮捕の“武器”」とされた「金商法違反の犯罪事実」を根底から覆すことになりかねない。

東京地方検察庁 Wikipediaより

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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