ハイゼットジャンボで実際に遠出をしてみてどうなのか
まずは一般論になるが、トルクの強くないノンターボの軽自動車のエンジンが最も苦手とするのが上り坂だ。

とは言え、2009年生まれのバモス君と比較するとずっと元気に坂を登ってくれる。
ハイゼットジャンボは高速道路の上り坂でギアが3速に落ちることがしばしばあるが、今のところ東名や中央道の登坂車線も急坂の多い名阪国道の登坂車線も使用せずに済んでいる。
箱根新道の登りなどでは2速にまで落ちてエンジンが唸り声を上げるような箇所もあったが、ロバのような速度になってしまうことはなかった。
軽トラのもう一つの弱点を挙げると、風の影響を受けやすいことだ。
荷台にシェルを積んでいたり幌をかけていたりするとさらに横風の影響を受けやすくなる。
バン・トラックに乗り慣れている人なら当たり前のことと受け入れられる程度のことでも、乗用車しか運転したことのない人は驚くこともあるかもしれない。
しかし、私も含め平気で乗っている人もいるのだから、軽トラに乗りたいなら、これは慣れてもらうしかないと思う。
私にとって身近なところでは、北寄りか南寄りの強風が吹く日の東京湾アクアラインの橋の上が最も難所だ。

強風の日にアクアラインを走るバスの車窓から見下ろした海の様子 ここは幅が狭いところを風が吹き抜けることになるため、特に強い風を受けることになり、バスに乗っていても大きく揺れることがある。
車線をはみ出すようなことはない(車体幅が狭いからそんな心配もないと思うが)が、結構左右に振られることも多く、気は抜けない。
しかし、横風が苦手とは言っても、いつもそんな運転を強いられるわけではない。
強風でなければアクアラインも普通にリラックスして走行できているので、たまに緊張感を味わうのも悪くはない。
次に心配する人が多そうなのが加速性能や速度などについてではないかと思う。
軽乗用車の車評などで「高速道路を走行する機会が多いならターボ付きモデルを選びたい。」といったようなことが書かれていることが多いと、エンジンについての説明で書いたが、こういった文を見て「高速道路の合流や車線変更は大丈夫なのだろうか?」と心配してしまう人もいるのではないだろうか。
一言で言えば取り越し苦労だ。
まともに整備された現在の軽トラなら全く問題などない。
そんなことを言っていたら、荷物満載の40ftコンテナを載せたトレーラーは高速道路に侵入することもままならないことになってしまう。

ハイゼットジャンボを運転していて、高速道路の合流で加速が悪くてビビったことなど一度もないし、全く引け目を感じることなどない普通の速度で巡航できている。
ターボが必要か否かは、より贅沢な性能を求めるか否かに過ぎないと思う。それが実際に何度も高速道路を走行して実感していることだ。
新東名で120km/hも出してみた。
新東名も風が強く吹き抜けるところが多いので、そんなところではハンドルを握る手に力が入ることもあるが、トンネル内など風の影響のないところでは全く普通に120km/hで走行できる。
しかし、高速では80km/h~100km/hで走っている時が最も快適だ。
この速度で普通にリラックスして巡航できるので、高速道路でも十分実用的だと言える。
また、先に坂道や高速道路での状況について説明したが、最も快適で燃費も良いのは60km/h~80km/hくらいで流しているときだ。

この速度域なら十分に静か(100km/hでも私はうるさいとは感じないが)でもある。
要するに高速道路ではない自動車専用道や郊外のバイパス、街道のような道が最も得意で、運転していても快適ということになる。
この特徴は旅に向いた性能と言えるのではないだろうか。
そして、当然ながら小回りが利く。
自動車が侵入できる道路で軽トラが入れないところは日本にはないと言って間違いないと思う。
知らない土地で狭い道に入っても安心なのも旅用車として重要な要素だ。

一人旅に最適な乗り物
ハイゼットジャンボを運転しながらふと昔を思い出すと、「もしかして720型辺りのダットラより快適?」とか「サニトラの運転席はもっとずっと窮屈で、荷台もサニトラの方が小さかったなあ。」などと感じることがある。

ダットサントラック・ハイラックス・ファスター・プロシード・フォルテなど、4ナンバーサイズの小型ピックアップトラックがことごとく消え去ってしまったのは大変残念なことではあるが、こんなに進化した軽トラの使い心地を体感してしまうと、その理由も頷けてしまうというものだ。
それでも、現在の乗用車と比較したら軽トラは「加速は悪いし、横風を受けやすいし…」となってしまうのかもしれない。
しかし、少々昔からクルマを運転している者からすると、たまに乗る現在の乗用車が逆に過剰に高性能過ぎやしないかと思うのだ。
貨物車は貨物車なので、それを遊びに利用したいなら乗用車とは違うことを理解した上で乗ってほしいとは思う。
「軽トラのキャビンは長旅に耐えられるものなのか?」の記事とも合わせて話をまとめると、ハイゼットジャンボは高速走行も長距離走行も全く問題なくこなせると言える。

荷台にシェルを積んだハイゼットジャンボは身軽な一人旅に最適な相棒だ。
ライター:笠原 サタン
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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