■「幻日」か「日光網膜症」か、それとも……

 客観的な事実として、1917年10月13日にほかの場所で太陽が異常な振る舞いを見せたという記録は残ってない。とすればこの“太陽の奇跡”はポルトガルのファティマの一部で起きた局地的な現象であったことになる。

 真の奇跡であったのか。もし奇跡でないとすれば何が起きていたのだろうか。

 ポーランドのウッチ工科大学のアルトゥール・ウィロフスキー氏が提案した説明の一つは、目撃者は大気の高層にある氷の結晶の雲によって引き起こされる「幻日(sun dog)」を目撃した可能性である。これらの雲は空を色とりどりに染めることもあり、少なくない目撃者の証言を説明できる。

神の光か幻か…太陽が踊った「1917年ファティマの太陽の奇跡」では実際に何が起こったのか
(画像=幻日(sun dog) 画像は「Wikimedia Commons」より、『TOCANA』より 引用)

 しかし“太陽の奇跡”ではまるでディスコのミラーボールのように色が変わり、忙しない動きを見せていたことが報告されている。7万人の観衆の中にはカメラを携えた報道陣もいたのだが、残念ながら太陽の動きや輝きを鮮明にとらえた写真は残っていないようだ。この時代のカメラでは撮影が難しかった可能性もある。

 さらに別の説明では「集団ヒステリー」と太陽を長時間見つめすぎたために起こる「日光網膜症」が組み合わさったものではないかという見解である。日光網膜症は、宗教儀式中に太陽を長時間見つめすぎた後世の宗教者の間でも記録されている症状で、めまいや幻視などが引き起こされる。

 太陽の色の変化や忙しない動き(おそらく目撃者が振り向いたときに残った太陽の残像)などの症状は、幻日よりもさらに現象をよりよく説明できるかもしれない。

神の光か幻か…太陽が踊った「1917年ファティマの太陽の奇跡」では実際に何が起こったのか
(画像=画像は「YouTube」より、『TOCANA』より 引用)

 裸眼で太陽を直接見ることの危険性は今ではよく知られているが、当時はそれほど周知されていなかったとも考えられ、多くが太陽を見つめ過ぎたために残像を見たりめまいを起こしていたとしても確かに不思議ではない。

 もちろん目撃した信徒の一定数は本当に“太陽の奇跡”が起きたと信じている。そしてこの一連の奇跡の中で聖母マリアが子供たちに伝えた「ファティマ第三の予言」の正確な内容も当然気になる。一説ではバチカンはこの予言を封印し隠蔽を図ったといわれているが、“太陽の奇跡”が本当の奇跡であったとすれば、その予言もまた正真正銘の予言であり、聖母マリアからの“預言”ということになるのだろう。

参考:「IFL Science」ほか

文=仲田しんじ

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提供元・TOCANA

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