聖母マリアが起こしたとされる“太陽の奇跡”を一目見ようと集まった7万人の群衆は何を目撃したのだろうか――。

■7万人の観衆の前で起きた“太陽の奇跡”

 事の発端は羊飼いの子供たちだった。1917年5月、ポルトガルのファティマに住む3人の子供たちが、羊の世話から帰宅中に聖母マリアの幻影に遭遇したのである。

 3人(ルチア、フランシスコ、ヤシンタ)によるとマリアは6カ月後に地上から完全に姿を消すということなのだが、それまで毎月子供たちの前に現れると告げ、最後の出現となる10月13日には奇跡を起こすと約束したというのである。

 この奇跡の噂は広まり、聖母マリアが起こす奇跡をこの目で確かめたいという敬虔なカトリック教徒たちをはじめ、当日には推定7万人の群衆がファティマ某所に集まったのだった。

神の光か幻か…太陽が踊った「1917年ファティマの太陽の奇跡」では実際に何が起こったのか
(画像=画像は「Wikipedia」より、『TOCANA』より 引用)

 聖母マリアの言葉を預かった子供の一人、ルチアが群衆に向かって空を見るようにと叫ぶと、空を見上げた観衆は“太陽の奇跡”として知られる光景を目の当たりにしたのである。

 空の太陽は色とりどりの光線を放ち、まるでダンスを踊るようにジグザグに動き、急降下と急旋回を繰り返すという信じられない挙動を約10分間にわたって見せたのだった。

 現場にいた弁護士のホセ・アルメイダ・ギャレット氏は次のように語っている。

「太陽を見ると、すべてが暗くなっていることに気づきました。私はまず近くの物体を眺め、それからさらに遠くの地平線まで視線を広げました。すべてがアメジスト色になっているのが見えました。私の周りの物体、空も大気も同じ色でした。近くも遠くもすべてが変わり、古い黄色のダマスク織の色になりました」(ギャレット氏)

 黄色い光が一帯を照らし、人も物も地面もすべてを黄色く染めたという。そしてギャレット氏は「とても楽しかった」と振り返っている。少なくともギャレット氏にとって“太陽の奇跡”は実にワンダフルな体験であったようだ。

神の光か幻か…太陽が踊った「1917年ファティマの太陽の奇跡」では実際に何が起こったのか
(画像=画像は「Wikipedia」より、『TOCANA』より 引用)