これからのメディアはファンベースがますます大事に?
記者っていろいろな面白い体験をしているんだから、記者が運営するオンラインサロンのようなものを、進めていった方がいいんじゃないかとも思っていたんですよね。
ただ、オンラインサロンが流行してから3、4年が経っていますが、新聞社はそれすらできていない。これでは動きが遅すぎます。
ニュースが売れない、だけど、ただ記事をつくっていくというマンネリ化した状況が続いているんですよね。
(毎日新聞社で記者をしていた時代、)ある程度自由にはさせてくれたので、頑張って僕はYouTubeやTwitter(当時。現在はX)などで発信していたんですが、「もう会社から離れて、独り立ちして走っていった方が面白いんじゃないかな」って思ってしまったんです。
会社員である以上、会社の仕事が第一。一方で、フリーランスになると、YouTubeのほか、出版社などに対しても、どうやって自分の持っている情報を売り込んでいくのかが大事です。
これから、いろんなメディアが組織を正社員だけでは維持できなくなって、契約社員やフリーランスの集まりになっていくんじゃないかなと見ています。
そうなったときに備えて、私は今の段階から個人として活動して、フリーランスとしての力を身につけていった方が10年後に(自分の)強みが出てくると思ったんです。
―――どうして新聞社で契約社員が増えていくとみているんですか?
私の経験からです。
(2015年~2018年に)地方支局にいたとき、(支局員のうち)1人は契約社員だったんです。毎日、地域面を記事で埋めなきゃいけないなかで、正社員の記者を受け入れる余裕がないから、“エリア記者”と呼ばれる人を雇用していたんですよ。
新聞社では、それが地方支局で広がっているんです。(今後)東京もそうなる可能性は否定できません。
少しは(正社員の記者も)残ると思うんですけど、ネットメディアなどでは、その比重が増してくるでしょう。
新聞記者⇒VTuberに
―――出版業界も厳しいですよね。
きついですね。いまはマンガ(デジタルコミック)でしかもうけられないと聞きます。
そうなると、マンガが強い出版社以外は厳しいでしょう。つぶれていく雑誌も多いと思います。
―――フリーランスになるにあたって不安はなかったですか。
本当はもっと不安を感じるべきだったんですけど、もう勢い余って辞めちゃったんで(笑)。
今は、やっぱりフリーって大変だなと実感しています。税金も自分で払わなきゃいけなくなるし、収入も半分以下に落ちたので。
―――ファンを付けていくうえで、最近はVTuberとしてもデビューされましたね。
記者VTuber・ブンヤ新太
ネット上では、もう完全にそっちの方が伸びると思ったからです。YouTube、X、noteも、(「宮原健太」から)VTuberの「ブンヤ新太」に筆名やアカウント名を変えました。他の媒体に記事を書くときは本名が掲載されているんですけど(笑)。
(今後、VTuberとして)頑張って伸ばしていきたいなと思っていますね。