場所へのこだわり

マスコミ報道などで、「豊洲などのベイエリアのタワマンを中国人が爆買い」などという記事を見ることがある。

たしかに投資目的の中国人の中には、こうした人もいるようだが、セカンドハウスとして使う目的で豊洲などベイエリアの物件を選ぶ人は多くないようだ。

想像して欲しい。1回1週間くらいの長さで年に3〜4回ほど東京に来る外国人は、ファミリー向け住宅地に滞在したくはないのだ。かといって、交通の便が良ければ良いというのではなく、外国人観光客の多い「おのぼりさん」的な場所も嫌という、なかなかアンビバレンツな感覚を持っている。

今回の香港人弁護士の場合も、単なる投資目的ではなく、実際に使うことも考えているだけに、東京でよく行く渋谷、原宿、表参道などに行きやすい場所、それでいて落ち着いた場所を希望してきた。

場所へのこだわりには、便利さを求めてというだけでなく、金銭的な理由もある。いずれ本格的に日本に住むとしたら、もう少し広い物件に住み替えることを考えているので、売却するとき値段が下がらない場所を欲しい、という意図もあった。

現金一括払いで2億円のタワマン

日本人にとって2億円のタワマンというのは、非常に高価な価格帯である。しかし、香港人にとっては高価というほどではない。

というのも、香港島のビジネスの中心地である中環(Central)から近い高級住宅地である半山区(Mid-Levels)でマンションを買おうとすると、築5年程度の中古マンションの約50平米の部屋でも4億円くらいする。だから、日本のタワマンは非常に安く感じてしまうのである。

しかも、日本非居住者の外国人は日本の銀行でローンを組むことはできないし、香港の銀行は日本の不動産を担保にとってローンをつけてくれることも無い。だから、現金一括払いである。

香港では「タワマン」は特殊な存在ではなく、30階以上の高層マンションが一般的だが、ある程度以上きれいな高層マンションには、ジムが付いているのが一般的で、プールが付いていることも多い。

この香港人弁護士は、日頃から運動したいとジム付の物件を希望してきたが、日本のマンションにはジムが無いものも多いと説明したところ、近くにジムがあるのであれば、マンションにジムが無くても構わない、と希望を修正してきた。

一流デベロッパーへのこだわり

当初の希望には挙がっていなかったが、途中からデベロッパーを気にし始めた。

香港のマンションは、築10年にもなると、かなり古びてしまう物件もある。その一方、一流のデベロッパーが開発した物件は、管理が行き届いて古びない。

日本の場合は香港ほど差が出ないが、一流デベロッパーが手掛けた物件であれば、古くなっても値が下がらない、ときには「ビンテージマンション」と呼ばれるまでになることもあるという話をするうちに、この香港人弁護士もデベロッパーがどこかを気にするようになった。

東京のタワマン市場は、外国人同士が争う戦場

この香港人弁護士は、物件探しのために東京に2回訪問してきたが、最後に気に入ったタワマンは、リビングから六本木ヒルズと東京タワーが一望できる最高のビューを誇る物件だった。

まさにこの物件を買おうと香港の銀行に連絡したその矢先、不動産業者からメールが届いた。

「今日、内見したお客様が現金一括で購入されました。」

外国人が内見後即座に購入したようだ。購入寸前にさらわれてしまった。いまや、東京のタワマン市場は、外国人が現金一括払いで争って買う戦場なのだ。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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