期待の新星FWカーラ・バウティスタとMF遠藤ゆめ
強みの1つとして「スピード」が挙げられていた昨2022/23シーズンのマイナビ仙台。もちろん個人差はあるものの、マンチェスター・ユナイテッド・ウィメン(イングランド1部)に移籍したMF宮澤ひなた、セレッソ大阪ヤンマーレディースに移籍したFW矢形海優、そして現在期限付きでノースカロライナ・カレッジ(アメリカ1部)へ移籍中のMF松窪真心と、スピードを強みとした選手たちがチームを牽引していた。しかし、彼女たちを失って迎えた今シーズン第1節では、スピード面でエルフェン埼玉にやや押され気味であった。今シーズンを戦う上で、スピードの底上げが課題の1つになるだろう。
一方、非常に期待できる点として、新規加入した海外選手たちの活躍が挙げられる。今季のマイナビ仙台は、特別指定や育成組織TOP可選手を含めた全32名中6名が海外選手。これはWEリーグ所属クラブの中で最も多い人数だ。開幕戦でパワフルなPKゴールを決め、早速スポットライトを浴びたのがスペイン出身のFWカーラ・バウティスタ。カーラは2013年から母国スペインを拠点に、1部リーグのレアル・ソシエダ・フェメニーノやバレンシアCFフェメニーノ、そして直近ではフンダシオン・アルバセテで経験を積んできた選手。相手チームからパワフルにボールを奪うことはもちろん、貫禄あるPKゴール後に見せたパフォーマンスなど、サッカー経験の深さを垣間見ることができた。
更に新スターとして期待されているのが18歳のMF遠藤ゆめ。中学時代からマイナビ仙台のユースチームで長く経験を積んできたが、今年7月29日にトップチームへの昇格が内定。正式加入は来年2月からとなるが、開幕戦ではすでにスターティングメンバーとして出場を果たした。緻密なドリブルやパス回しが得点の鍵となり、新たなスターとしての頭角を見せていた遠藤。特にMF中島依美との息のあったプレーや、DF佐々木里緒とMF佐々木美和による“SSコンビ”との絡みで得点チャンスを多く生み出すなど、今後の試合でも様々な選手との科学変化が非常に楽しみだ。
好スタートのマイナビ仙台と日テレ・東京ベレーザ
全5試合が行われたWEリーグ第1節で好スタートを切ったのは、相手チームから3得点を奪い勝利を収めたマイナビ仙台と日テレ・東京ベレーザだ。全試合結果は下記の通り。
- ちふれASエルフェン埼玉VSマイナビ仙台レディース:1-3
- ノジマステラ神奈川相模原VS大宮アルディージャVENTUS:0-1
- INAC神戸レオネッサVSアルビレックス新潟レディース:1-0
- セレッソ大阪ヤンマーレディースVSジェフ千葉レディース:1-0
- 日テレ・東京ベレーザVS長野パルセイロ・レディース:3-1
ここで、昨シーズンの順位トップ5を見てみよう。※括弧内は勝点
- 1位:三菱重工浦和レッズレディース(52)
- 2位:INAC神戸レオネッサ(44)
- 3位:日テレ・東京ベレーザ(42)
- 4位:マイナビ仙台レディース(27)
- 5位:サンフレッチェ広島レジーナ(24)
上位3クラブと4位以下の勝点差が大きいことがわかる。
もちろん順位そのものも大切だが、勝点に着目するとまた違う視点でも試合を楽しめる。勝点数が増え、各クラブの差が縮まれば縮まるほどWEリーグ全体のレベルも高まる。ひいては、なでしこジャパン(日本女子代表)のレベル向上にも大いに影響してくるだろう。誕生して間もないWEリーグが、世界に注目されるリーグになれるよう、期待し応援したい。