電話やメールの着信があった際、発信者が誰かを確認する前にわかった体験があるだろうか。実は多くが経験しているこのミステリアスで興味深い現象は「電話テレパシー」と呼ばれていて科学的研究の対象にもなっているのだ――。
■40%以上が体験している“電話テレパシー”
昔の家庭用の固定電話の多くは電話に出るまで誰がかけてきたのかわからなかったし、今のスマホだとしても画面を見るまでは誰からの電話であるかはわからない。
特に固定電話の時代は呼び出し音が鳴ってから電話をかけてきた人物がなんとなく頭に浮かび、それが的中して驚いたという話がよくあった。頻繁に電話をやりとりする相手なら的中しても珍しくはないが、呼び出し音が鳴る間にもう何年も連絡を取り合っていない人物の顔が浮かび、電話に出てみるとその人物であったりすれば確かに驚きの体験となる。
あるいは電話をかけた先の人物から電話口で「ちょうどあなたのことを考えていたんです!」などと言われた経験のある40~50代は多いかもしれない。これは単なる偶然の一致なのか、それとも“テレパシー”なのだろうか。そして実際にこの現象は「電話テレパシー(Telephone Telepathy)」と呼ばれて学術研究の対象にもなっている。

かつてアメリカとイギリスで行われた調査では40%以上の人々がこの電話テレパシーを体験していることが報告されている。
電話テレパシーの説明の1つは「確証バイアス」で、電話に出る前に発信者を予測して的中した体験は特によく記憶していることからくる。予測が外れたり、そもそも予測などしないで電話に出ていることのほうがむしろ普通であったりもするだろう。そしてそうしたありふれた体験はすぐに忘れてしまうのである。
もう1つの説明は潜在意識下の予測である。ある人物がある用件でそろそろ電話をしてくることを過去の行動パターンから無意識に予測しており、たまたまその予測が意識にのぼってきた時に“的中”するケースである。
しかしこうした説明だけで電話テレパシーを片づけてしまうことができるのだろうか。
かつてルパート・シェルドレイク博士行った実験では、実験参加者に4人の知り合いのうちの誰からメールが来るのかを予測してもらったところ、40%の確率で的中したことが報告されている。確率論的には25%であるはずだが、40%というのは単なる偶然では片づけられない数値になるだろう。
