いまの日本政治の課題とは?

―――今の日本政治の大きな課題は何だと思いますか。

緊張感がないことだと私は思っています。その根本的な原因は政権交代が起こらないことです。

政権交代が起こる可能性がある場合、おのずと緊張感は生まれます。何か問題を起こした場合、“自分たちが(与党の)席を失うかもしれない”という緊張が存在するはずなんです。

しかし、現状ではそのような緊張感は見られず、国民の声を重視することが、おろそかになる傾向にあります。

政権交代がなぜ起こらないのかというと、要因は2つあります。

1つ目は野党が弱すぎること。2つ目は与党が強すぎることです。

自民党が長く政権を担い続けた結果、(さまざまな人々や支援者との)関係が深くなっていいます。(この状況を)変えるのは難しい。それでも、私は政治が良くなるためには野党がもっと強くならなければならないと思っています。

野党は、しっかりとしたビジョンを持ち、それを主張して多くの政治家や支持者を引きつける必要があります。

―――野党だった民主党(当時)が2009年に政権を握ったときの話を官僚に聞くと、運営能力の弱さを指摘する声も出てきます。

政権交代が頻繁に起こらないから、そうなってしまっています。

民主党が政権を取ったとき、これまで自民党政権で続けていたプロジェクトが全てダメになり、0から積み上げようとして官僚と戦うような状況になってしまいました。

野党の人に話を聞くと、与党の経験が少ないため、官僚との交流の仕方も分かっていなかったというんですよね。

野球でたとえると、与党が守備、野党が攻撃の役割といえますが、政権交代時、民主党政権は守備の経験がなかった。2大政党制のもとで、政権運営能力を育てる期間が必要だと思っています。

「政権交代しても、いまの野党は政権担当能力を持っていないのでは?」という意見はよく理解できますが、その考えは永遠に何も変わらない政治をつくるだけだと思います。

次回は、これまでの政治のハナシと打って変わり、毎日新聞の記者として活動していた宮原さんが、なぜフリーランスのジャーナリストとなり、さらにはVtuberとなったのかについて聞いていきます。