毎日新聞社で首相官邸や立憲民主党、外務省などの政治取材に携わり、現在はフリーランスの政治ジャーナリストとして活動する宮原健太さん(31)。
文春オンラインやプレジデントオンラインなど雑誌やウェブメディアで政治動向を伝える記事を執筆しているほか、“記者Vtuber”ブンヤ新太としても活動しています。
長年、永田町を取材してきた宮原さんに、複数回にわたって若手ビジネスパーソンに役立つ“政治のハナシ”を語ってもらいました。
今回は、“個人が政治をよくするために何ができるのか”、“日本における政治の課題は何か”についてです。
第1回、第2回はこちら
「ビジネスで政治を知ることが大事なワケ 政治ジャーナリスト・宮原健太にイチから聞いた【Part1】」
「政治のニュースってどう見たらよいの? 政治ジャーナリスト・宮原健太にイチから聞いた【Part2】」
個人にできることは?
ーーー労働組合や、宗教団体、企業などが特定の候補者に票を集める‟組織票”というものがあります。個人が投票することの大切さとはどんなものでしょうか?
もちろん大事だと思います。今の政治が良くないと思うんだったら野党候補者に入れれば良いし、素晴らしいと思うんだったら与党候補者に入れば良いんです。
企業や連合、創価学会などによるといわれる“組織票”も、なんだかんだいっても年々少なくはなっています。これは、地域や組織のつながりが昔に比べて希薄になっていることの象徴ですね。個人の選択が反映されやすくなっています。
ただ、組織票が減って個人票が増えていけば投票率は変わらない、もしくは上がるはずなんだけれども、むしろ下がっているんです。個人がちゃんと投票しているかというと、残念ながらしていないんですね。
もっと(多くの)個人が政治に対する選択をしていかないと、政治は変わりません。
―――1人が行動したところで、大して変わらないと考える人もいますが。
それはそうでしょうね。
選挙を通して年々減ってるとはいえ団体票はいまだにあるわけだし、それによって当選してる人もたくさんいるわけです。
そういった特定の業界が生き残るための政治に偏ってしまうと、個人の選択は反映されなくなってしまいます。
さきほどいった通り(前回「政治のニュースってどう見たらよいの? 政治ジャーナリスト・宮原健太にイチから聞いた【Part2】」参照)、政府は追い詰められないと法案を変えるところまで至りません。そういう意味では、個人の発信から政治を動かすところにいくまで、確かに道のりは遠いのかもしれませんね。
でも、それは民主主義が悪いというよりは与党である自民党の体質の問題。いろんな国で組織票はあるけれども、(日本政治の)体制が変わらないことも原因の1つです。その点がどうしても個人と政治をつなぐ障害にはなっているかもしれないと思いますね。
―――国民が政治に参加する手段としては投票と反対運動の2つが大きいのかなと思いますが、他にあげられる方法はありますか。
意外と政治家って身近にいるんですよ。自分が政治に関わりたいなって思っているんだったら、政治家の街頭演説は意外といろいろなところでやっているし、Twitter(現X)などでも告知をしているので、見に行って話しかけても良いかもしれません。
嫌な政治家もいるけれども、きちんと対応してくれる政治家もいます。そこで演説を聞いている人たちを有権者として、政治家たちは意識するはずです。
いろいろな人たちとつながろうと、政治家は個別訪問などもしていますよ。
―――そんな簡単に話を聞けるものなんですか。
相当な役職につく政治家だったら違いますけど、駅前の朝立ち(朝の通勤時間帯に、駅前など人通りの多いところで演説活動をすること)の時などに話しかけることは、かなり多くの人がやっているので、声をかける勇気さえあればハードルは低いのかなと思います。