フロイド事務局長は中国からCTBTに対する継続的な支持を得るために、北京で外務省軍備管理軍縮局長の孫暁波氏と二国間会談を行い、IMSネットワークの中国側の推進に向けて前進していくことで一致している。フロイド氏はまた、中国の馬昭徐外務次官とも会談し、今回の訪問を中国とCTBTOのパートナーシップにおける「新たな章」の始まりと歓迎し、CTBTの普遍化と発効に向けた勢いが今後も続くとの期待を吐露しているのだ。

ちなみに、フロイド氏は王暁明所長率いる中国のNDCを訪問後、IMSステーションを視察した。完成すると、IMSネットワークの中国セグメントには、2カ所の超低周波観測所、4カ所の補助地震観測所、2カ所の主要地震観測所、3カ所の放射性核種観測所、および1カ所の放射性核種研究所の計12の施設が含まれる。CTBTが誇る国際監視システムに対する中国の貢献が広がるわけだ。現在5カ所のIMS施設は認証を受けており、フロイド氏は残りの施設の認証を進める重要性を強調している。

ウィーンに本部を置く国連工業開発機関(UNIDO)はその機関の非効率、腐敗などからカナダ、米国、英国、フランスなど欧米主要国が次々と脱退し、組織としての存続の危機に直面してきたが、ここにきて中国との関係を深め、中国共産党の習近平国家主席が提唱した新シルクロード構想「一帯一路」の下請け業者のような使命を受け、延命を図っている。

同じように、CTBTOは中国に接近し、そのパートナーシップの強化に乗り出している。両者はよく似ているが、その試みが成功するか否かは不明だ(「UNIDO、中国との関係を深める」2023年10月21日参考)。

いずれにしても、フロイド事務局長が取り組まなければならない最初の課題は中国のCTBTの批准だ。中国は1996年9月に署名したが、批准していない。曰く、「国会で慎重に検討中」と弁明してきた。中国は米国の批准待ちの姿勢を崩していないのだ。

なお、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、中国の核弾頭数は2023年1月時点で約410発と推定され、「中国は核戦力を急速に拡大している」という。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年11月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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