音楽の都ウィーンに今年もクリスマスシーズンが訪れた。観光地の1区のケルンテン通りやショッピングストリートのマリアヒルファー通りでは既に華やかなイルミネーションが灯され、欧州最大のクリスマス市場といわれるウィーン庁舎前広場では樹齢115年、高さ28メートルのツリーにも10日、2000個のLEDのイルミネーションが点灯された。

テロ事件後のストラスブール市のクリスマス市場周辺(2018年12月12日、仏内務省公式サイトから)
ツリーへの点灯式にはウィーン市長のミヒャエル・ルートヴィヒ氏(SPO)と南チロル州知事のアルノ・コンパッチャー氏(SVP)が立ち会った。今年のツリーは南チロル州から贈られたものだ。
ルートヴィヒ市長は、「今日私たちが美しい南チロルの木に灯す灯りは、私たちの社会の団結の徴となるはずです。テロの恐怖、憎しみが私たちを分断するのではなく、団結に焦点を当てるべきです」と語り、コンパチャー州知事は、「この木はイタリアの南チロル州のウィーンとオーストリアとのつながりの徴です」と述べている(ちなみに、南チロルからのクリスマスツリーについては、「1カ月余りのクリスマス市場のために樹齢115年の木を切るとはなにごとか」といった声がソーシャルネットワークサービス(SNS)からは聞こえてくる)。
ウィーンにはクリスマス市場は14カ所あるが、市庁舎前広場のクリスマス市場は最大で12月26日まで開催される。市場にはクリスマスの飾りやお菓子などの店の屋台が出て、訪れる市民や観光客を誘う。
油で揚げたランゴシュ、そしてクリスマス市場では欠かせないプンシュ(ワインやラム酒に砂糖やシナモンを混ぜて温めた飲み物)のスタンドからはシナモンの香りが漂う。人々は友人や家族とプンシュを飲みながらクリスマス前の雰囲気を楽しむ。市場のスタンドでは1杯のプンシュは7ユーロ50セント(約1200円相当)という。ウクライナ戦争前だったら、昼食のメニューが楽しめる値段だ。
ウクライナではロシア軍の侵略後、激しい戦争が続いている。戦争は2年目に突入し、停戦の見通しはまだない。そして10月7日にはパレスチナのガザ地区を実効支配しているイスラム過激派テロ組織「ハマス」がイスラエルに侵入し、1400人余りを殺害し、200人以上を人質にするというテロ事件が発生。イスラエル軍のガザ地区での報復攻撃が続く中、欧州各地で反ユダヤ主義的犯罪や蛮行が発生している。
それだけではない。イスラエルとパレスチナでの戦闘の影響もあって、人が集まるクリスマス市場を狙ったイスラム過激派テロ事件が懸念されている。