黒坂岳央です。
情報化社会になり、AIまで答えを出してくれる昨今、何でもかんでもインスタントに白黒ハッキリした答えを求める人が増えていると感じる。こうした環境は知的忍耐力を極端に落とし、わかりやすい形の二元論以外を受け入れなくなってしまいがちだ。
計算が速い、理解が早い。こうしたファスト思考がもてはやされがちだが、じっくりと本質、真理を追求し今ある常識を常に疑い、自分なりの答えを納得行くまで時間をかけて追求するスロー思考が必要な時が来ているのではないかと思う。
ファスト思考、すなわち何でもかんでも「すぐわかったつもり」になってはいけないと思うのだ。

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「最近の若者は協調性がない」 「中高年は暴力的な人が多い」 「あの国の人達はマナーがなっていない」
こうしたステレオタイプをはじめ、多くの人は先入観やちょっとしたやり取りで相手を理解した気になってしまう。そして自分の思い込みで相手の人間性や性格を決めつけ、すっかりわかった気になる。しかし、これはとても危険な思考だ。お国柄とか、性別、兄弟の有無など置かれた「環境の差」以上に、「個体差」の方が遥かに大きいからだ。個体差を無視して外的環境やステータスだけで相手をわかった気になると、往々にして見誤ることになる。
たとえば詐欺に騙されやすい人がそうだ。自分が怪しいと思い込んだ相手が、よく話を聞くと実はとてもいい人そうだと感じたらその時点から、完全に警戒心を解いて相手のいうことを鵜呑みにしてしまいがちだ。詐欺をする人はその辺の人心術を掌握しているので、すべては計算づくで相手を籠絡する。詐欺に引っかかる人は、「自分は相手のことをしっかりわかってるから」と思い込んでいることがほとんどだ。しかし、それは思い込みの幻想に過ぎない。
自分は記事や動画を出している立場で見た人から「あなたのことはよくわかっている」と相手から言われることがある。「あなたはこういう性格と価値観なので、今回の話はずいぶん思い切りましたね」みたいに言われた時には、「いやあそんなことないのだが、相手にはそんな風に見えているのか」と驚いてしまう。良くも悪くも、一度も会ったこともない人のことを、そんなに簡単にわからないと思うのだ。
ネットでは強気で怖い雰囲気の人は、リアルで会うと実際には物腰柔らかくて丁寧な対応をしてもらう、という経験が自分には何度もあったので余計にそう感じるのだ。