井上役員 :何時だと思っているんだ! 君は既に取締役になったつもりかね?
磯部部長 :集合時間には間に合っていますが。何がご不満でしょうか?
井上役員 :部長の分際で最後に合流するとは何事だ! けしからんヤツだ!
磯部部長 :そう言われても…困ります
磯部部長は、井上役員の怒っている理由が分かりません。
私はピンときました。磯部部長のクラウンは「ロイヤルサルーンG」という最高級クラスでした。当時はまだ珍しいナビシステムまで装備しています。一方、井上役員のクラウンは「スーパーセレクト」という廉価モデルでした。部下がグレードの高い車を乗っていたので、面白くなかったのでしょう。
その場は収まったものの、宴会で修羅場が待っていました。井上役員の「無礼講」のあいさつも終わり、宴もたけなわで、カラオケ大会も終盤に差し掛かっています。井上役員の十八番は、GLAYの「HOWEVER」でした。部内には、井上役員が「HOWEVER」で〆るという暗黙の了解がありました。
井上役員は磯部部長に、「今日は飲みすぎて声が出ない。君が歌ったらどうかね。今日は無礼講だ!」と言いました。「それでは」と磯部部長、おもむろにマイクをつかみ「HOWEVER」を歌い始めたのです。ファルセットの裏声が響くまさに熱唱でした。周囲は“マイナス10度”に凍り付いていましたが、酔った磯部部長は満足そうでした。
翌月、磯部部長はデータセンターに異動になりました。過去の資料や新聞記事を整理する資料室のようなもので、花形とは言えません。その後、磯部部長にスポットライトが当たることはありませんでした。
「無礼講」の場ではお酒を飲まない優秀な社員は型を崩しません。つまり、部下としての一線を越すことはないのです。「今日は無礼講だ!」と言われて、「ありがとうございます。それでは~」と型を崩すことはないのです。
無礼講と言われたら、普段より慎重な対応が求められます。社交辞令をまともに受けると大変なことになると覚えておくべきでしょう。
お酒は上手に付き合えば「百薬の長」と言われます。適度な飲酒は、血液の循環を良くし、体の疲れを癒すと言われています。しかし、上司と飲みに行き、お酒が原因で評価を下げる人は少なくありません。社内でお酒を飲むことは基本的にお勧めしません。飲むのは会社以外にした方が無難だと申し上げておきましょう。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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