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優斗の中で、お金に対する考え方が変わり始めていた。これまで冷たいものだと思っていたお金には、みんなを結びつけつける力がある。

年収の高い仕事がいい、と漠然と考えていたとんかつ屋の倅、優斗。そして、投資銀行勤務でお金を稼ぐことにある種の執着をもつ尖った若手社員、七海。二人はボスとの対話を通じて、お金に対する、そして社会のあるべき姿に対する考え方を徐々に深めていく。

本書は、中江兆民「三酔人経綸問答」の如く、三人の対話を通じ各章ごとのテーマに基づいて世の中とお金の関りを学ぶ経済小説である。

知らない人に贈与するのは難しい。それやと経済は発達しにくい。それを可能にしているのが、お金なんや。

「お金自体には価値がない」「お金で解決できる問題はない」など各章ごとに設定されたテーマに基づいて三人は語り合う。ボスと呼ばれる師匠に対して、優斗と七海は質問を投げかけ、時には反感を覚え意見もする。