なお、同教授はまた、「イスラム派テロリストの年齢は年々、低下している。ISのテロリストといえば、10年前は18歳から25歳が多く、男性だけだったが、インターネット、TikTokなどのSNSの影響が大きく、これまで以上に若い青年たちがイスラム過激思想に惹かれ出している」と述べている。

ノイマン教授は、「ハマスはイスラエルとアラブ諸国との関係正常化を停止させるように圧力を行使している。同時に、欧米社会を分裂させ、欧州に住むユダヤ人に安心して生活できないという不安を与えることに成功している」という。

ちなみに、イスラエルの世界的に著名な歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏はレックス・フリードマン氏のポッドキャストでイスラエルの現状について、「問題が国家的、民族的なものだったら、妥協や譲歩は可能だが、信仰や宗教的な対立となれば、妥協が出来なくなる。イスラエルとパレスチナ問題は既に宗教的な対立になってきている。それだけに、解決が一層難しくなってきた」と主張している。

明確な点は、10月7日後、パレスチナ問題の和平交渉が始まるならば、それはハマスの失敗を意味する。ハマスはパレスチナ問題の解決など願っておらず、ユダヤ人の国イスラエルの破滅が最大の目的だからだ。ハマスの10月7日の奇襲テロは停滞する中東和平交渉への苛立ちから起きたものでもなく、ただ、ユダヤ人を1人でも多く殺害する目的で実行されたテロ事件という事実を看過してはならないだろう。

イランのアフマディネジャド大統領(当時)が2010年9月の国連総会で、「イスラエルを地図上から抹殺する」と暴言を発したことがあったが、ハマスも同じスタンスだ。ハマスにとって、イスラエルとアラブ・イスラム国との和解合意(アブラハム合意)は最悪のシナリオだったはずだ。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年11月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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