Q. 国債が返せなくなることはあるんですか?

日本では考えられませんが、問題はデフォルト(お金を返せないこと)ではありません。金利上昇で政府の国債費(金利支払い)が増え、日銀の財務も危機になることです。これは自国通貨だろうとなかろうと同じです。

Q. 金利が上がるとどうなるんですか?

今は10年物国債で0.95%の金利がつきますが、これは10年間変わらないので、金利リスクはほとんどありません。日銀のもらった金利は国庫納付金として政府に納めるので、統合政府としては同じです。

長期金利が上がると、低金利で発行された国債に評価損が出ますが、日銀は国債を売らないので、損失は実現しません。日銀の資産は買ったときの原価で評価するので、含み損を考える必要はありません。

しかし民間の銀行は時価評価なので、保有国債に評価損が出ると、決算で報告しないといけません。大きな評価損が出ると取り付けが起こって金融危機になるので、日銀が緊急支援する必要が出てきます。

Q. 500兆円もお金を借りて大丈夫なんですか?

今のようにゼロ金利なら問題ありませんが、当座預金の金利が1%に上がると、日銀は1年で5.44兆円の金利を民間に支払わないといけません。この金利は上がった翌日からキャッシュで発生します。つまり日銀は長期金利(国債)を超短期金利(日銀当座預金)に置き換え、財務リスクを増やしてしまったのです。

Q. そんなお金は日銀にあるんですか?

日銀は独立採算なので、国債の金利より日銀当座預金の金利がたかくなると逆ざやになり、赤字になります。赤字の合計が自己資本(11兆円)を超えると債務超過になり、政府(一般会計)の支援が必要になります。

Q. 債務超過になると困るんですか?

民間企業だと倒産しますが、日銀はお金を印刷できるので、資金繰りに困ることはありません。でも一般会計からの支援には国会の承認が必要なので、1998年の「金融国会」のように国会が荒れるかもしれません。

Q. これから金利は上がるんでしょうか?

長期金利は1%を超えるでしょう。政策金利も、今年中にマイナス金利は解除されるという観測が出ています。ゼロ金利になるだけでは大した影響はないでしょうが、アメリカのように政策金利がどんどん上がると、日銀の財務リスクは大きくなり、ゼロ金利で資金調達してきた銀行や民間企業も苦しくなるので、影響は長期金利より大きいでしょう。

重要なのは為替への影響です。これまでは日銀がYCC(長短金利操作)で国債金利をおさえていたので、外資は買わなかったのですが、植田総裁になってから海外の投機筋が多額の日本国債を空売りし、円安を加速しています。日銀にとっては、これが一番てごわい敵でしょう。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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