福岡一筋、バンディエラ城後が宙へ

試合後、選手たちが次々とカップを掲げるなか胴上げされた選手がいた。クラブのバンディエラであるFW城後寿だ。城後は2005年に加入して以来、福岡一筋で活躍し今年で19年目を迎える37歳のベテランだ。J1の強豪クラブからオファーを受けながらもチームに残り続けてきた城後は、J2時代からタイトルを目指してきた。

今季もルヴァン杯グループリーグ第4節の鹿島アントラーズ戦では得点を挙げ、18年連続のゴールを記録し勝利に貢献。決勝ではベンチ外となったが“福岡のキング”は常に変わらぬ練習への姿勢でチームを引っ張ってきた。試合後には「あと何年できるかわからないが、必死にプレーしていく」と語っており、キングの物語はまだまだ続きそうだ。


アビスパ福岡 写真:Getty Images

さらなる高みを目指して

初タイトルを獲得したことで地元の福岡県を中心に、連日多くのメディアに取り上げられているアビスパ福岡。今後求められるのは、地域において不可欠な存在になることだ。これまでは人気実力ともに備えた福岡ソフトバンクホークスと比較され、注目度が高いとはいえなかった。ただ、日本一の称号を手にしたことで転機となる可能性を秘めている。

大切なのは長期的な視点。長谷部監督も「(ホークスには)10年後に追いつけるかもしれないし、まだまだですけれども目指すべきところですね」と語っており、今回の一時的な注目を長期的な人気に繋げられるかが焦点となるだろう。

福岡の川森敬史会長が決勝戦後「早速、明日(5日)契約書を持って回ろうと思う」と語ったように、優勝したことで興味を示す企業は多い。このチャンスを逃さず、財務状況の改善と同時に来季以降もタイトルを狙えるだけのピンポイント補強を期待したい。長谷部監督の来季続投がすでに決まっている福岡。クラブとしてもチームとしてもどのような状況で2023シーズンを締め括り、来シーズンを迎えるのか。真価が問われるのはこれからだ。