日本の株価がなかなか1989年の最高値を超えません。その理由の一つは会社の数が多すぎる⇒資本が分散⇒顧客の囲い込みも進まず⇒企業業績は跳ね上がらずということなのかと思います。
私が北米で株式投資を長年やって思うのは配当の良さです。3-4%は当たり前で6-8%ぐらいを提示する安定企業も多数あります。何故かと考えた時、資本の循環があるのだろうと考えたのです。多くの人は10代から株など投資環境を学び、経験します。社会人になれば年金の運用(401kのようなもの)を自分で行う人も多く、当然ながら資本市場に相当若い時期から入ります。資本市場の最大の目的は投資したものがリターンとなることであり、それはキャピタルゲインよりも配当重視です。
企業は配当金政策を重視し、長期に渡り増配を続けている会社もあります。配当するためには当然資本効率を上げる必要があり、経営の効率化が株主からも強く求められるわけです。
一方、日本の経営はよりユニークネスを求めているように見えます。会社案内には「弊社では…」と自社の特徴をアピールする文言がずらりと並びます。どう見ても他社と同じ商品でも「お客様、実はここが違うのです!」と猛烈にアピールします。
成田空港で毎回、会社の土産にお菓子を買うのですが、よくもこれだけ似たようなものが揃えられるな、と思います。前回日本に行ったときは地方都市を4か所ほど廻ったのですが、新幹線の駅にある土産物屋にもご当地ものがずらり。1つも買わなかったのは買う決め手がなかったからかもしれません。(全国の土産用のお菓子は香川のツジセイ製菓によるOEMのシェアが高いはずです。故にどこでも似た味なのです。)
日本の経営を「サル山の大将」ということがあります。あまり良い表現ではないですが、言わんとしているのは「お前には迎合しないからな」であります。この経営的ツッパリが日本人には強すぎると思います。少し前、エクソンがアメリカの大手シェール会社を8.8兆円で買収すると報じられていました。いつも買収側に焦点が当たるのですが、被買収企業は「買われた、負けた」と思うのでしょうか?ここが違うのです。「この売却の資金をもって次の勝負に出よう」なのです。つまりエクソンさん、色を付けて買ってくださってありがとう、このお金は大事に次の勝負で使うよ」と。
日本の企業はお互いが譲らないガチンコ勝負で体力の消耗戦となっている点が日本の株価上昇につながらない点でしょう。こだわりを重視するならホールディング会社の傘下にそれぞれの独自性を持たせた部門をぶらさげればよいでしょう。外国企業の例で挙げればフォルスワーゲンは好例でポルシェ、アウディからランボルギーニを含むブランドのデパートのような会社です。
日本が資本効率を考えるならこういう形態に変わっていく方がより望ましいのではないかと考えています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年11月3日の記事より転載させていただきました。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?