適正妥当な本件最高裁判決
本件最高裁判決には、行政不服審査法や地方自治法など関係法令の解釈・適用に特段の違法性は認められず、加えて、移設工事に不可欠な公有水面埋め立て設計変更の承認事務という本件「法定受託事務」の高度な公益性を考えれば、本件最高裁判決の判断は相当であると言える。
すなわち、国は、外国の侵略から国民の生命身体財産を守る安全保障上の重大な義務と責任を負っているところ、この義務と責任を果たすためには、日米同盟関係の強化を含め、必要とされる防衛力・抑止力の保持整備が不可欠である。
したがって、本件はまさに1億2000万国民の安全保障にかかわる公益性の極めて高い事案であり、安全保障に責任を持てない一地方自治体知事の権限を超越し、これに馴染まない国の専権事項に属する事案である。本件最高裁判決はこれらをも考慮した適正妥当な判断であると言える。
本件最高裁判決等に対する批判米軍基地反対の左翼系の一部行政法学者などは、行政不服審査法は私人の国に対する審査請求を前提としているから、国である防衛省が同法に基づき国土交通省に審査請求する適格性がなく違法であると批判している。
しかし、判例によれば、行政行為の適正化の見地から、国(厚生大臣)による行政不服審査法に基づく審査請求も認めているから(東京高判昭30・1・27行例集6・1・167)、国にも同法に基づく審査請求の適格性があり違法とは言えない。
軟弱地盤により埋め立ては困難であるから、国土交通省による埋め立て設計変更承認の採決は違法ないし不当であるとの批判がある。しかし、東京国際空港や関西空港などにおいても埋め立て工事の実績があるから、技術的に辺野古移設工事に限って埋め立てが特段困難であるとは言えない。
選挙等で示された辺野古移設反対の沖縄の民意は「公益」であり、判決はこれを無視するものとの批判がある。しかし、民意は重要ではあるが、国民の生命身体財産を守る国の安全保障に関する事項については一地方自治体の民意のみを絶対視することは相当ではなく、安全保障上は危険でさえあると言えよう。
違法な沖縄県知事の徹底抗戦玉城沖縄県知事は、上告を棄却した最終審である本件最高裁判決すらも一切無視し、あくまでも辺野古移設に絶対反対し、埋め立て設計変更の承認を拒否し続け、今も徹底抗戦している。
このような沖縄県知事による法を無視した行動は、民主主義及び法治国家の原則である「法による行政の原理」にも背反し違法である。本件最高裁判決に照らせば、代執行訴訟では知事の敗訴は確実である。
法を無視した沖縄県知事の違法な徹底抗戦は、日米同盟関係の強化に悪影響を及ぼし、国益を害するだけではなく、軍事力を増強する中国や北朝鮮を利し、日本の抑止力を低下させる危険性がある。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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