フィラエニスとは何者なのか

 フィラエニスは古代ギリシアの高級娼婦を指す「ヘタイラ(hetaira)」であるという記録も残されているようだ。恋愛と性愛のプロフェッショナルであるヘタイラであるからこそ“セックス教本”が執筆できたというのである。そのような女性が書いた本であるのなら、多くの男性は教えを乞いたくなるかもしれない。

 しかし一部の詩人からは、フィラエニスとは架空のキャラクター名であり、本書は実際には男性の作家によって書かれたものであるという指摘もあったようだ。内容が内容であるだけに著者は本名を名乗ることはできず、架空の高級娼婦の名を騙ったというのである。一説では“セックス教本”の本当の作者はアテナイの修辞学者で詭弁家でもあったポリュクラテスであったともいわれている。

 そして“セックス教本”が性的にストレートすぎる点にもやや違和感があるかもしれないという。

 古代ギリシアでは少年愛や男性の同性愛、小児性愛などは決してマイナーではなかったことから、“セックス教本”のストレートすぎる異性愛志向がやや不自然である点が指摘されているのだ。とすれば驚くべきことに、この“セックス教本”はレズビアン女性に向けた指南書であった可能性も残されているという。

 古代ギリシアは、今日の我々の社会よりもはるかにセクシュアリティについてオープンであったといわれている。フィラエニスは明らかに社会で重要な位置を占める人物だったと思われるが、彼女のアイデンティティは現時点では神話的な謎に包まれている。未解読のパピルスなどにおいて将来さらに多くの発見があれば、フィラエニスの実像にさらに近づくことができるのだろう。

参考:「Ancient Origins」ほか

文=仲田しんじ

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提供元・TOCANA

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