目次
ワゴンR王国、最後の栄光
「スティングレー」で人気が加速した3代目(2003年)
ワゴンR最後の黄金時代、4代目(2008年)
ワゴンR王国、最後の栄光
最先端の軽自動車としてトールワゴン販売競争の先頭に立つワゴンRには常に新機軸が求められ、3代目ワゴンR RR(ダブルアール)はスズキ初の直噴ターボを積んだ 鉄板の国民車的な人気を誇る軽自動車といえば2023年現在ならホンダ N-BOXで間違いありませんが、それ以前に軽自動車で1人勝ちしていたのは、スズキのワゴンRでした。
1993年に初代デビュー時は大して期待されていなかったものの、実際には軽自動車のみならず日本車そのものに革命を起こした歴史的名車となり、ライバル各社から軽や小型車で数々のフォロワーを生むものの、しょせんは二番煎じとばかりワゴンR人気は継続。
しかし王座とはいつか誰かへ譲るもので、2012年以降はN-BOX(2011年12月発売)に抜かれるものの、ワゴンR最後の黄金期となったのが、今回紹介する3-4代目です。
後席両側スライドドア全盛期となった今でも、反スライドドア派にはワゴンRを好むユーザーがいて、MOBY編集部がAIに聞いた「30-40代のクルマ好きが気になる名車」にも一応ノミネートされています。
筆者としても、「深夜のドン・キホーテに行くと、ジャージ姿の若いカップルや子連れ夫婦の乗るワゴンRで駐車場が一杯だったな…」と、思い出深い?クルマです。
「スティングレー」で人気が加速した3代目(2003年)
スズキが本気になればオラオラ顔の1つや2つ!と本気を出し、ムーヴ カスタムを擁するライバル、ダイハツを青ざめさせたワゴンRスティングレー
小型車/普通車並の衝突安全性能が求められた軽自動車の新規格化(1998年10月)以降も2代目が大ヒットしていたワゴンRですが、2003年にモデルチェンジした3代目でもその人気は変わりません。
2代目途中で右1+左2の変速4ドア車廃止、AT車の全車コラムAT化、リアシートスライド追加による後席の居住性改善といった改良が矢継ぎ早になされたのも、作れば売れる人気と、流行の牽引役として迫るライバルをブッチ切る新鮮味が求められたがゆえ。
3代目では一新されたプラットフォームと運転席/助手席エアバッグ標準装備など衝突安全性能強化、最小回転半径の縮小による取り回し性能の強化で、より安全で運転しやすい軽自動車としての魅力を強化し、スポーツモデルのRR(ダブルアール)には直噴ターボを採用。
ただし、この頃になるとライバル各社が「標準モデル」に加えて「カスタム」などデザインや使い勝手など多彩な魅力を追加した派生モデルを多数展開して追撃しており、やや白物家電化していたワゴンRもマンネリ化の打破は急務です。
そこで2007年に登場したのがワゴンR初のカスタムモデル「ワゴンRスティングレー」で、ボンネットを持ち上げ厚みを増したフロントマスクには通常版と全く異なる横基調デザインのディスチャージヘッドランプやスケルトングリルを装着。
この「チョイ悪系ワゴンR」によって、それまで社外品エアロ頼みだったのが、品質の高い純正でアグレッシブデザインとなったほか、フロント先端左右の見切りがよくなって運転もしやすくなるなど、バランスの良さでライバルに差をつけました。
これで一番慌てたのは最大のライバル、ダイハツ ムーヴで、2006年にモデルチェンジした4代目の「ムーヴカスタム」が丸っこいスマート路線だったのでワゴンRスティングレーに全く太刀打ちできず、後期で大がかりなフェイスリフトを余儀なくされています。