誰でも簡単に幾何学模様を描けるのが、「スピログラフ」という玩具です。

「子供のころ遊んだ」とか「100円ショップで見かけた」という人も多いでしょう。

スピログラフは定規の一種ですが、描くのは直線ではなく神秘的な幾何学模様です。

歯車に空いた穴に鉛筆を刺して歯車の動きに従って線を引くだけで、万華鏡のような美しい模様が描けます。

しかしなぜ「スピログラフ」は、そんな単純な動きで人が美しいと感じる模様を生み出すことができるのでしょうか?

今回は数学的美しさを秘めた不思議な定規スピログラフを解説します。

神秘的な幾何学模様を描く定規「スピログラフ」とは

スピログラフで描いた幾何学模様
Credit:Wikipedia Commons_スピログラフ

上の模様すべては、精密かつ複雑な曲線で成り立っており、まるで万華鏡のように魅力的ですね。

実はこれらの幾何学模様は、コンピュータなどを使わなくても、シンプルなアイテムで誰でも簡単に描けてしまいます。

そのアイテムこそが、曲線を描くための定規の一種「スピログラフ」です。

スピログラフのアニメーション。内側を転がる小さい歯車。歯車の中の穴に鉛筆を入れて描く
Credit:MichaelFrey(Wikipedia)_スピログラフ

スピログラフは歯車状の外側のリングと、その内側に収まる小さな歯車で成り立ちます。

小さな歯車にはいくつかの穴が開いており、その穴にボールペンや鉛筆の先を通すことができます。

後は、歯車に沿わせて鉛筆を走らせるだけで、自然と幾何学模様が完成

歯車状の外側のリングや小さな歯車のサイズ、穴の位置を変更することで、模様の種類が大きく変化するのが特徴です。

長方形のスピログラフ
Credit:Alexei Kouprianov(Wikipedia)_スピログラフ

画像のような長方形のプラスチック板に穴が開いたタイプのスピログラフを見たことがある人は多いかもしれません。

他にも、主に子供用の玩具として複数の商品が販売されています。

このスピログラフが考案されたのは、1965年のことでした。

イギリス人発明家のデニス・フィッシャー氏は、1960年に自分の会社である「デニス・フィッシャー・エンジニアリング」を設立。

精密部品や様々なパターンの描写機械を製造する中で、スピログラフのアイデアを思いつきました。

スピログラフを考案したデニス・フィッシャー氏
Credit:toytales

そして考案から1年後にはライセンスを取得し、商品化。

瞬く間にブームとなり、1967年にはイギリスの「トイ・オブ・ザ・イヤー」に選ばれました。

1977年までには、3000万個以上のスピログラフが販売されており、現代でも「手軽に幾何学模様を描けるアイテム」として、人々の関心を引き付けています。

そんなスピログラフは、どのように美しい模様を描いているのでしょうか。もう少し詳しく考えてみましょう。