クールな「アートフォース」に敗れた男のロマン、3代目プレリュード(1987年)

「“スケベノブ”こそデートカーの本質?」「王座を奪われた3代目」男の欲望とロマンが詰まったホンダ プレリュード【推し車】
(画像=スタイリッシュな姿にリファインされつつ、「誰が見てもプレリュード」とわかるデザインで大ヒットし、それゆえにS13シルビアに敗れた3代目プレリュード‥今ならFF車でこんな低いボンネットは無理!、『MOBY』より引用)

1987年にモデルチェンジした3代目プレリュードは見ての通り超キープコンセプト!

量産乗用車では世界初の機械式4WSなんて、当時流行の最新装備、どうせ使ったところで大した恩恵なぞありゃしませんが、それでハクがつくなら何でもありというだけです。

やはり本質はデートカー、それも「人気のプレリュードの最新モデル」ですから、2代目より3代目でナンぱした方がはかどるというものでして…ちなみに発売当時の筆者はまだ13歳でしたから、世の中にはそれよりもっと大事なことがある!などと夢見がちですが。

どのみち5年もたてば大事なコトとは男と女の話(実際には5年もかかりませんでしたが)、筆者より年配な50代の読者の青春時代ならば、なおさらでしょう。

4輪ダブルウィッシュボーン独立懸架サスは、走りというより滑らかな走りと乗り心地の良さを、エンジンを傾けてまで先代よりさらに低く下げたボンネットは、より「デキる男」のイメージを(こういうのは理屈じゃないので…)。

かくして2代目がドン臭く見えるほどカッコよくなった3代目プレリュードも大ヒットしましたが、その栄光は長続きしませんでした。

1年1ヶ月ほど遅れた1988年5月にモデルチェンジした5代目S13系の日産 シルビアが、「アートフォース」をキャッチコピーに大人の恋愛を描いたCMで若い男女のハートをつかむと、もうプレリュードなんて古臭くてたまりません。

2代目からの正常進化、超キープコンセプトがアダとなり、新しい美しさに自分たちの未来を見た若者は殺到、これまたFRレイアウトのスポーツカー、HICASによる運動性といった面とは全く関係なく人気となったシルビアに、デートカーの玉座を奪われました。

ちょうどバブル時代真っ盛りになろうという頃で、オモチャみたいなギミックよりは、なまめかしく、クールなデザインが大人の恋愛には必要とされたのでしょう。

その後のプレリュードは、4代目でアメリカンスポーツスタイル、5代目で3代目に回帰したようなスタイルと試行錯誤するも、二度とスターダムに復帰することはなく、ある年代にとって青春時代の1ページを飾るのみのクルマになったのでした…。

それだけでも、スゴイことなんですけどね。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

文・兵藤 忠彦/提供元・MOBY

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