ガザ情勢が悲惨さを極めている。閉鎖された空間に閉じ込められ、ライフラインが停止されている状況下の市民が住む町に、苛烈な軍事攻撃が継続されている事態の深刻さは、人類の歴史でも特筆すべきレベルだろう。

NHKより
来週11月7日・8日に日本がホストとなったG7外相会議が東京で開催される。これまでガザをめぐる危機には、目立たない態度を心がけてきたような日本だが、ホスト国としてG7をまとめ上げる立場にある。覚悟を定めて事態を直視してほしい。
一般には、日本の「立ち位置」が話題となる。イスラエルとの連帯を重視するアメリカを安全保障上の同盟国として持つ日本は、常軌を逸したイスラエルの軍事行動を見ても、非難をすることを自重している。他方、中東諸国にエネルギーを依存しているため、パレスチナを軽視する態度は見せられない。板挟みになりながら、バランスをとっていることは、広く知られている。
それで大丈夫か。G7外相会議ホスト国の役割はもちろん、今後の混迷を深める国際情勢を、日本は本当に乗り切っていけるのか。
欧州諸国は、立場が分かれてきている。ガザに人道支援を入れることの必要性を訴えた国連総会決議に、フランスは賛成票を投じたが、その他のG7欧州諸国は、日本とともに棄権をした。アメリカは反対した。
G7の大半の諸国が棄権した理由は、アメリカが反対した理由と同じである。ハマスの非道な行為に対する非難が入っていない、イスラエルの自衛権が明記されていない、といったことであった。ただそれでも棄権と反対に投票行動が分かれたのは、アメリカが断固としてイスラエルと連帯する姿勢をとるのに対して、他の諸国はより中立的に振舞いたいからだ。
よく言われるように、G7諸国の国際社会における影響力は低下し続けている。それは端的にG7諸国のGDPが世界経済に占める割合が低下していることなどの客観的事情によるところが大きい。ただ、今回のガザ危機のように、世界の大半の諸国が賛成している決議に対して、G7の盟主が反対し、その他の諸国の大半も棄権をしているということになると、国際世論の面でも、G7が少数派側に転落していることが明らかである。
日本が中立的な立場を捨て去ることなく、しかし受け身な姿勢から脱却することによって、劣勢のG7の存在感を高めることにも貢献できる道はないか。
世界の大半の諸国により強くアピールするためには、当たり前のことだけでなく、さらに前に一歩進んだ対応をする努力を見せていきたい。
軍事行動の停止を強く要請することが、イスラエルの自衛権行使の擁護にこだわるアメリカの賛同を得られないとすれば、アメリカも賛同するガザの市民に対する人道支援の充実策に関して、踏み込んで努力する姿勢を見せたい。