「医薬分業」を見直すべきだ
処方薬の問題についてはケンコーコム訴訟で最高裁が、薬のネット販売を禁止する厚労省の規制を違法としたが、なんと厚労省は薬事法を改正してネット販売を規制した。
厚労省は「対面販売で説明する必要がある」というが、私は規制対象のコンタック鼻炎スプレーもアレジオンも薬局で買ったことがあるが、一度も薬剤師に説明を受けたことはない。ネット販売のほうが確実に客に対して質問できる。
「薬剤師がいないと薬害が出る」と薬剤師会から政治献金を受けている政治家はいうが、薬害の責任は製薬会社にあり、薬剤師が防ぐことはできない。「薬剤師が濫用の歯止めになっている」というが、睡眠薬を大量に買おうと思えば、複数の医者に行って複数の薬局で買えばいい。
医薬分業は1990年代の医療報酬が不透明だった時代に「薬漬け」を防ぐためにできた制度だが、今では院内処方もレセコン(レセプトを自動作成するコンピュータ)でやるので、電子的にチェックできる。院外処方のコストは(技術料を含めて)院内の3倍ぐらい。過剰処方を防ぐために調剤薬局を乱造するのは、社会的コストが高すぎる。
こういうとき既得権を守るために出てくる口実が「命の問題だ」という話だが、そんなことを言い出したら、タクシーやバスの運転手にも職業免許が必要になる。これは費用対効果の問題なのだ。
薬剤師は余っている一方で医師は足りないので、風邪や花粉症など、簡単な薬の処方は薬剤師ができるようにすべきだ。開業医の仕事のほとんどは処方箋を書くだけなので、これを薬剤師にまかせ、医師は本質的な治療に専念すべきだ。
ほとんどの職業免許(業務独占)のメリットはなく、資格認定で十分だというのが、経済学者のコンセンサスである。医師については免許でモラルハザードを防ぐべきだという意見もあるが、薬剤師の業務は電子化できるので、免許で守る必要はない。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?