毎日4支店が閉鎖されている

2010年には全国に4万3000の支店あったのが、2022年には1万9000の支店しか残っていない。12年間に2万4000の支店が閉鎖されたのである。それを行員数で見ると14万人以上の行員がリストラされたことになる。この現象が目立っているのが上述しているように過疎地での支店の撤退である。

支店の閉鎖は今も徹底して実施されており、全国的に見ると、毎日平均して4支店が閉鎖されているという。筆者が在住している町の隣の自治体は人口4万人の都市であるが、スペインで最大手のカイシャバンク支店の前に大勢の人が列を作っていたのを先日筆者の目に映った。よく観ると8台のATMの前で市民が操作している姿であった。最近までそこでは行員がお客をアテンドしていたのである。その支店の規模からして、そこでは支店長と他5人くらいの行員が働いていたはずである。

デジタル業務に精通した人の採用が増加

その一方で、行員をリストラするのとは反対に新たに雇用も増えている。銀行のデジタル業務に精通した人材を積極的に採用しているのである。スペインではデジタル銀行が10%増えるごとに、それは従来の市中銀行の28%を閉鎖することに繋がるとされている。(2021年4月24日付「20ミヌートス」から引用)。

これからさらに支店の閉鎖は続く。例えば、大手銀行のひとつBBVAでは人口4000人以下の町にある支店はすべて閉鎖するプランをもっているという。筆者が住んでいる町は人口3800人の町で、大手銀行が2支店と農協銀行が1支店がある。かつては5つの銀行が支店を開設していた。近い将来この大手銀行の支店も撤退するであろう。そしてそこにATMの設置台数を増やすようになるであろう。サービス業務も今では週に3日間支店が開いてお客を直接アテンドしているだけである。15年くらい前までは結構多くの顧客が支店に出入りしていたのを思い出す。

これからさらに支店の閉鎖は続き、行員のリストラも継続して行くはずだ。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

【関連記事】
「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
大人の発達障害検査をしに行った時の話
反原発国はオーストリアに続け?
SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
強迫的に縁起をかついではいませんか?